日本財団 図書館


フィンランドは、長い海岸線(バルト海、ボスニア湾)、無数の湖沼と河川が、漁業の発展に好ましい地理的条件を与えているが、バルト海および内陸水域は魚の養分になるものが少なく、また魚の成長期間が短いため、漁獲高は比較的少ない。内陸水域の面積は31,613平方キロ(国土総面積の9.3%)で、湖は55,000ケ所にあると推定されているが、一般的に水深が浅く、平均水深は7mである。このうち大きい湖は17湖で、入江や河川を介して長い水路と結ばれ、更に本格的な大河川と連がっている。
フィンランドの海洋漁業は、主としてバルト海とボスニア湾である。バルト海は塩分が多いが、フィンランド領の水域の塩分は概ね0.7%以下である。フィンランド本土と島の海岸線は、全長27,000?に及んでいる。
通常、冬季になると、ボスニア湾の北部の水域は10月の終わり頃に、また、フィンランド湾の東部の水域は11月中頃に凍結が始まる。
ボスニア湾の南部とフィンランド湾は5月になると氷は無くなるが、ボスニア湾では6月初めまで流氷が残る。フィンランドの内陸では、湖は1年のうち7ケ月は凍結し、南部では約5ヵ月間凍結する。
フィンランドの湖の水深が浅いこと、凹凸が多くて海岸線が極めて長いことは、魚の生産にとって恵まれた特徴である。しかし、底岩と表土のカルシウム含有量が少ないことに加え、泥炭地となっているため、フィンランドの湖水は栄養分が低く、比較的酸性で且つ、腐植土質の含有量が多い。このうち、酸性および低栄養分は魚の生産には不利である。
フィンランドの湖水の大半(86%)は、貧栄養型である。富栄養湖(同国湖水の14%)は、粘土地帯の南部と南西部にある。大きい湖における漁獲の主なものは、ベンディス(さけ科)である。
バルト海における漁獲量は、ロシアが最大で、次いでポーランド、デンマーク、フィンランドの順である。
最も重要な魚は、バルト・ニシン、タラおよびスプラット・イワシである。
バルト・ニシンは、主として底引き網(トロール)で捕獲するが、たて網も行われている。
 
 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION