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しかし、石油関連の労働者不足の影響から生産コストが上昇し、在来型工業(電気化学、電気冶金工業)の国際競争力が低下するというマイナス面も現れ始めた。
ノルウェーの原油生産量(1992年1億661万トン)、天然ガス(同277億3,200万立方メートル)が世界全体の原油・天然ガス生産量に占める割合は極く僅かであり、ノルウェーの原油・天然ガス政策が国際石油・ガス情勢へ及ぼすインパクトは小さいが、世界市場における原油価格の値下がりなどの影響は避けられない。
従って、政府も石油という単一商品に依存する経済からの脱皮を目的に石油部門以外の産業の育成に取り組んでいる。
世銀の推定によると、1992年におけるノルウェーの国民総生産(GNP)は、1990〜92年の平均価格をべ一スとして算定すると、総額1,104億6,500万米ドルであり、国民1人当り25,800米ドルに相当する。
1985〜92年の期間に、国民1人当りのGNPは実質で平均年率0.2%の割合で増加している。この期間(85〜92年)に、ノルウェーの人口は年平均0.4%の割合で増加している。
ノルウェーの国内総生産(GDP)は、1980〜90年の期間に実質で年平均2.9%の割合で増加し、91年は1.6%増、92年は3.3%増となっており93年は約0.8%の増加と推定されている。農・林・漁業の対GDP寄与率(91年)は4.5%を占め、労働力の5.5%(92年)がこの部門に従事している。
耕地面積は国土の僅か3%以下に過ぎない。従って農業生産で最も重要な分野は牧畜が中心となっている。
1986〜89年の期間に、農業部門のGDPは年平均5.8%の割合で増加した。
自然的制約から農牧業が不振であるのに対し、林業や漁業には適しており、産業の中心となっている。また、工業の比重も次第に高まっている。
漁業は、北大西洋の世界的大漁場を控え、伝統的な産業として重視されている。
北海やロフォーテン諸島の近海では、ニシン、タラ、サケ、ヒラメなど世界第4位の生産実績をあげている。ノルウェー漁業は沿岸漁業であるため、鮮度が高く品質も優れており、欧州最大の魚類輸出国となっている。
林業は、古くからノルウェーの重要産業の一つであり、木材の輸出中心から、近年ではパルプ、紙、レーヨンなどの製品として輸出に向けられ、魚類とともに輸出総額の15%以上を占めている。
 
 

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