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制限もしくは禁止していたこともあって、現在保有船舶のうち、輸入船は極めて僅かであり、また老令船が多い。
スペイン海運界で現在稼働中の輸入船は、英国、西独、オランダ、スウェーデン、ノルウェーなどが主なものであり、その他は国内建造船である。
これらの船舶と比較すると、いずれの国も多年の経験と実績のある高水準にある造船国であるので、品質、性能の点では甲乙の差は少なく、船価支払い条件について、域内にあるので、大差、優劣のちがいは殆どみられないものと思われる。
(B) 輸出対策
スペインは、従来から外資に対して開放的な政策をとっていたが、EC加盟に伴う域内競争の激化に鑑み、早急に国内産業の基盤を整備する必要に迫られ、86年に国防関連等4業種の例外を除いて外資導入が完全に自由化された。
各競争相手国は、域内という地理的、経済的に有利な条件を背景にして、関連産業部門への投資政策による地盤固めと、その強化に努力しており、これを通じて船舶輸出へのルートをつくることを期している。
スペインの投資環境の優良性(低簾な人件費、優秀な労働力、EC各国へのアクセスの容易性など)もあり、最近ではEC諸国を中心として投資ラッシュの様相を呈している。
その中で日本の占める比率は、スペイン全体の投資受入総額から見て僅かに1.6〜2.0%と極めて低い。スペイン政府としても、スペイン産業の競争力強化の為には、日本の投資、技術および管理運営上のノウハウが極めて重要と考え、期待をかけている。
(C) スペインとの歴史的、経済的なつながり
スペインは西欧の一員として、ECを中心とする西欧諸国との協調、軍事面を含む対米協力関係の維持、伝統的かつ歴史的なつながりのある中南米およびマグレブ諸国との友好関係の維持、発展に向けた現実的な外交を展開している。
1955年には国連に加入、58年にはIMFおよび世銀、59年にはOECDに参加し、82年にはNATO、86年にはECに加盟した。特に、EC諸国との協力を重視すると共に、NATOの一員として西側世界の防
 
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