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概ね一般的なものが多く、品質の点では、経験と実績の豊かなこれら建造国間に優劣の差は少ない。
支払いは、現金決済または国際慣習の線で延払いが条件になっているので、これら各国間に大差はない。
船価については、これら欧州造船国における諸材料の値上がり、賃金上昇、労働時間短縮などによる価格競争力の低下により、わが国は優位に立っている。
また、納期の点でもわが国は優位にある。
(B)輸出対策
ドイツは、世界でも有数の優れた技術を誇る造船国であり、かつ、船舶輸出国である。
また、ドイツの船主が新造船を国内造船所に発注する場合、船主に有利な各種の優遇措置が講じられているにも拘らず、海外へ発注しているが、これはドイツの造船従業員の賃金が高水準にあるため、船価が他国に比べ高いことが大きな理由である。また、ドイツの造船業は、高度の技術を要する特殊船、専用船などの建造に重点を置いているため、在来の大型タンカー、一般貨物船などを進んで受注する熱意がみられないからである。
競争相手諸国は、これらの点に留意し、ドイツの船主の要望に添うよう船価、支払い条件、納期はもとより、性能などのPR活動を行って、船主側の関心を深めるよう努力している。
(C)ドイツとの歴史的、経済的なつながり
わが国とドイツとの交流は、17世紀前半にまで遡ることができ、1639年にドイツの砲術士ブラウンが平戸で鋳造した臼砲を三代将軍徳川家光に献上したことが伝えられている。
ドイツが近代国家として民族的に統一されたのは、僅か120年前のことである。
普墺(オーストラリア)戦争(1866年)、普(プロセイン)仏戦争(1870〜71年)を通じてプロイセンが勝利を収め、1871年にドイツ帝国として成立し、ドイツは近代列強の仲間入りをした。
日独の交流が本格化したのは幕末からであり、1861年に日本はプロイセンと修
 
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