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(4)造船事情

 ベネズエラ政府は1975年以後、自国商船隊の保護と拡充政策を積極的に進めるため、国営造船所(DIANCA)の拡充計画、および国営造船工業公団(COVINCA)55%、スペイン造船会社(Astilleros Espanoles S.A.)45%の共同出資による造船所ASTINAVE(Astilleros Navales Venezolanos S.A.)の設立を計画した。

 当初、10万トン・ドライドック計画であったDIANCAは、その後の政権交替、財政難により、計画の遅延と縮小を余儀なくされ。結局、3万DWT能力のドライドックを建設して1980年に稼働した。

 しかし、その後の建造実績は乏しく、81年にMaraven S.A.向け33,100G/Tオイル・タンカーを建造したのみである(小型曳船などは多数建造している)。

 なお、同タンカーの建造には、イタリアの積極的な技術援助があり、イタリアでの技術者の訓練、ベネズエラでの建造にイタリアの造船技師を監督として派遣すると共に、プロジェクト全体の設計もイタリアで行なった。従って、ベネズエラでは入手困難な舶用機械類は、殆どイタリア指導の下に欧州から導入されている。

 現在、DIANCAの新造と修繕との比率は1:10であり、新造も小型漁船、はしけ、フローティング・バージなどが中心である。

 また、新造に対する意欲もあり、国内の大手船会社CAVN(Compania Anonima Venezolana de Navegacion)などに働きかけているが、同国経済事情の悪化により、新規受注は期待薄である。

 更に、ASTINAVEは、AESAとの共同出資による修繕設備を有する新たな造船所を計画していたが、83年に中止されたままとなっている。

 現在、稼働中の主要造船所の設備は、次の通りである。

 






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