日本財団 図書館


 

(7)競争相手国との競争条件の比較

(A)延払い、船価、品質等条件の比較

 パキスタンにおける輸入船舶の大半は、中小型の一般貨物船もしくはバルク・キャリアなどであり、高度の特殊技術を必要とする構造ではない。
 従って、品質の点では各国とも特に優劣の差はなく、殆ど同様の水準にある。
 しかし、船価、延払条件については、急激な円高の進むわが国に比べ、韓国、台湾、シンガポール、ブラジルなどが遥かに低価格であり、延払条件も国際慣習を無視し、発注国に有利な条件を提示して、東南アジア諸国に進出している。これが、OECD(経済協力開発機構)やAWES(西欧造船工業会)などと協調しているわが国にとって不利な点である。
 納期については、わが国は正確かつ短納期を確保できる点で、優位にある。

(B)輸出対策

 パキスタンは、天然資源に乏しく、気候条件に大きく左右される不安定な農業を最重要産業としており、農産物の輸出を主柱として経済を支えている国である。
 従って、農業生産の変動が国民経済におよぼす影響は極めて大きい。

 

 近年、政府は国民生活の向上と経済の安定を図るため、工業化の促進に努力しているが、そのための生産財の輸入量が急増し、かつ産油国の経済活動の停滞により出稼ぎパキスタン労働者からの国内への送金が大幅に減少し、国際収支に深刻な影響を与えている。
 これに対し、ドイツ、英国など欧州先進諸国は、将来のパキスタンの発展を期し、輸出拡大の基盤を強化するため、各種の経済援助を供与して、パキスタンとの友好、貿易の密接な関係を結んでいる。

 

 パキスタンに十分な財源があれば、より多くの資本財、工業設備などをわが国から輸入することは明らかであるので、将来わが国からの輸出の拡大、振興のための対策として、両国間の貿易条件の是正、経済援助の在り方などについて検討することが必要である

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION