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時代から習得した豊富な知識をもち、船舶関係の事情にはよく精通している。
 従って、新造船の発注に際しても、世界情勢を十分に理解しており、契約条件などに関しても一般国際慣習に従っている。
 過去の契約実績をみると、長い延払い条件では80%を8年というケースから、60%を6〜7年といったものが多い。

 (E)取引ルートシンガポールの海運界は、英国の植民地時代から英国の支配下に置かれており、1965年の独立後も依然として英国系海運企業が根強い勢力をもっている。
 従って、新造船の発注先も英連邦が中心となる場合が多い。
 最近、国内造船所が従来の船舶修繕から新船建造への態勢を整えるようになり、政府も新造船部門の発展のため、船主が国内造船所へ発注する場合には融資などの便宜を与える措置を講じている。
 それ故、船主は運航、採算の観点からして、納期、船価、延払条件などの点で国内発注と比べ有利と判断した場合には、海外へ発注することになる。
 この点、わが国はこれらの条件ならびに地理的にも有利であるため、受注の機会に恵まれてきたが、今後競争相手国も対応策を講じることが十分に予想される。
 従って、わが国としては、船主との接触を密にし、納期、船価、延払条件、運航面での経済性などをアピールし、船主側の希望を満足させるような資料を提供して、優位な点を常に認識させることが、取引に結ぶルートである。

(7)シンガポールに対する歴史的、経済的なつながり

 シンガポールは、1819年に英国がこの地に貿易港を建設して以来、自由・申継貿易港として急速に発展した。1867年に英国の直轄植民地となり、英国の束南アジアにおける政治、経済、軍事上の拠点として発展した。
 1963年、シンガポールは、マヤラ連邦、サバ・サラワクとマレーシア連邦を結成し、英国から独立したが、人種、政治、経済上の間題で連邦と対立し、65年8月、連邦から分離独立してシンガポール共和国となった。

 

 

 

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