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 (B)海運事情と保有船主の実態

 シンガポールは、地理的に国際海運の要衝にあって、天然の良港にも恵まれ、東南アジアにおける重要な自由・中継貿易港として発展してきた。
 また、近年における国内経済の急速な成長を反映し、シンガポール港の海上輸送貨物取扱量は、現在では年間1億トンを超えており、世界500社以上の船舶が寄港し、世界的規模の海運センターとなっている。
 しかし、海運については沿岸貿易を除いては、外国の海運企業への依存度が極めて高いので、政府は自国海運業の育成、強化に力を入れている。
 このため、シンガポール政府は、全額政府出資の国営海運会社(Neptune Orient Lines,Ltd.)を1968年に設立した。同社は国策会社であり、有力荷主の協力もあって業績は好調な伸びを示し、保有船舶も拡充・増強され、航路も着々と拡大し、極めて積極的な経営活動を展開している。
 69年には、便宜置籍船誘致のため、船籍を外国に対し開放した船舶登録制度を導入したため、シンガポールの登録船舶は急増し、79年には1,031隻(7,869,152G/T)を記録した。
 その後、船舶登録制度を改正し、シンガポールに籍を置く企業、市民または永住権所有者の所有する船舶の登録に限定したため、若干減少するかと懸念されたが、82年には849隻(7,183,326G/T)にまで回復した。
 その後は世界的海運不況と時を同じくして減少し、現在に至っている。
 シンガポールの主な海運会社とその保有船舶は、次の通りである。

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