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シンガポール

  (1)一般事情

 

 

 シンガポールは、人口約265万人(88年度現在)、国土は僅か622.6平方キロで、わが国の淡路島ぐらいの小さな面積である。
 現在、国土面積の6分の1以下が開墾され、養鶏、野菜・果物栽培、果樹園などに使用されているが、これら農業部門の国内総生産(GDP)への寄与率(88年)は僅か0.5%であり、また農林漁業は労働人口全体の0.9%程度を雇用しているに過ぎない。
 シンガポールは天然資源に乏しく、国内必需品の殆どすべてを輸入に依存している。シンガポールの経済発展の成功は、(1)中継貿易(マレーシアやインドネシア産の生ゴム、木材、コショウ等)、(2)石油製品及び機械機器(地場輸出総額の50%以上を占めている)、(3)港湾(海上交通の要衝に位置している)などに負う所が多い。運輸、通信、倉庫、金融、観光などを含むサービス部門は、外貨の獲得および貿易赤字の補填に重要な役割を果たしている。
 現在、最も重要な部門は、石油精製、船舶建造・修理、化学品、電子機器およびデータ処理機などの製造工業である。
 87年には、製造工業部門は労働人口の26.7%を雇用し、国内総生産(GDP)への寄与率は実に26%(前年比17%増)を占めている。88年は、対前年比が17.2%増を記録した。これは、電子工業が88年に大きく伸びたことを反映したものである。
 金融および商業部門は、88年には回復し10.1%の伸びを示した。建設部門は、内需の減退と労働力の不足により、88年は3%の伸びに過ぎなかった。
 製造業および建設業部門における労働力の不足を補うため、シンガポールには外国人労働者(主としてASEAN諸国からの出稼人)が15万人も存在し、労働市場の需給に応じて大きな役割を果たしているが、89年7月、政府は外人労働者に対する抑制策を強化した。
 89年3月、政府は国有企業17社の民営化を発表した。その他24の国有会社の民営

 

 

 

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