中型造船業が今後とも健全に持続発展していくためには、生産システムの改善、労働時間短縮、福祉向上等の雇用管理改善やイメージアップにより優秀な若年者を獲得し、労働基盤を強化することが必要であり、長期的な労働人口減少を迎える我が国においては最優先の課題と認識している。
社会法人日本中型造船工業会は、本事業の実施にあたり次の委員会を設置し、夫々の分掌に基づき審議検討を行うこととした。
?魅力化推進委員会:学識者、会員により、総合的な審議決定を行う。
?コンピュータリゼーション委員会:学識者、会員により、船舶設計の電算化等による労働時間の短縮について研究する。
?生産システム改善委員会:学識者、会員により、工場見学等による技術交流の促進、作業負担の軽減、修繕仕様の合理化、工作方法の修繕と技量の伝承等について取りまとめる。
?近代化地区推進委員会:会員により、東海阪神、中国、四国、九州の各地域毎の諸問題を検討する。
平成8年度は、計画第4年度として次の事業を実施した。
?参加企業の計画推進指導:東海阪神・中国・四国・九州の4地区において公認会計士により計画の推進に関する集中指導を実施した。
また、関東・四国・九州地区において船舶計算の電算化種威信指導を関東・中国・九州地区において生産現場における作業負担軽減方策指導を実施した。なお、実際の作業は、2つのワーキンググループを設けて実施する。
?生産システムの改善:船舶の製造修理にいたるムダをなくし、かつ工程を円滑化することにより作業負担の軽減を図りつつ生産体制の合理化を達成すること、及び修繕作業の事務作業の負担軽減に資する仕様の合理化を行うこと等について検討した。
?情報技術基盤の強化:波浪中腹原性計算プログラム(規則波対応)の開発及び開発済みソフトのウィンドウズ95への移植、暗線規則改正への対応等を行った。 |
景況の後退により、参加企業の設備投資意欲が後退しているものの、将来的な企業依存のため及び高齢化の進展への対応と若年労働力の獲得のために雇用条件の改善は是非必要と認識する各企業は、依然前向きに取り組んでいる。
特に本年度は週40時間体制への以降のため担当の設備投資が行われている。
時短推進については、短納期船受注が増加傾向にあり、かつ近年の船型の大型化に対応するためブロック外注が増加傾向にあること等から、残業時間の増加要因となっているものの、各社とも概ね40時間体制への移行準備は進んでいるものと認識している。 |