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2・4 交流、ビデオ信号およびパルス波

上図2・1と図2・2では、その電源に電池の図が描いてあり、このような電池で発生させる電圧はその電圧が一定の(電池が弱らない限り)直流電圧で、オームの法則の式に示したP、E、Iの電力、電圧および電流はいずれも時間的に変化のない直流電力、直流電圧及び直流電流である。図2・3(a)は直流の電圧を示す。

これに対して一般の家庭に供給されている電気は交流であって、この場合の電圧や電流は図2・3(b)に示すように時間的変化をしている。このような交流は家庭用の電力だけではなく、耳で聞ける音から電波の元となる高周波の信号まで、その振動の速さの差はあるがいずれも同じような性質をもっている。この図(b)のような電圧の規則正しい変化に対して図(c)に示すような不規則な変化をする交流もある。また、これらの交流と直流とを合成すると図の(d)に示すような脈流が得られる。これらに対して図(e)に示すように、ある時間に急に電圧が加わる波形をパルス波と呼び、(e)の直流のものと、(f)のようにゼロレベルが、(一)または(十)のときもある交流のパルス波形もある。パルス波は第1章にも述べたようにレーダーでよく使用される。なお、図ではパルスの波形で描かれているが必ずしもこのような方形波である必要はなく、その上部が丸い形のものも多い。

図2・4に正弦波交流の波形を示す。この波形は図の左にあるように円の半径が回転したときの、その高さの投影である。この電圧波形の振幅の時間的な変化はe = Esinθで与えられる。ここで、θは円の半径の回転における図の0位置からの角度であり、Eは振幅が最大のところの電圧である。このような波形が連続して繰り返されるが、図に示すその1サイクルの長さを周期Tとすると、この波形は毎秒1/T回繰り返され、このときf=1/Tを交流の周波数という。

円のほうの図で、角θは時間tとともに変化をするが、その変化をθ=ωtで表せば、このωは角速度と呼ばれる値で、周期Tで360°、ラジアンという角度の単位では2πだけ回転するのでのT=2πとなり、ω=2π/T=2πfの関係が得られる。したがって、

e = Esin[θ] = Esin[ωt] = Esin[2πft]          (2・6)

 

 

 

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