日本財団 図書館


上のすべての船舶はレーダーを装備することが強制されることになるとともに、 1978年の議定書の中で、10,000総トン以上の船舶の場合には2台のレーダーを装備することが必要となった。これらの規程は1981年(昭和56年)5月に発効して、国内的にも法規がこれに合わせて改正された。また、IMOでは1971年にはその総会でレーダーの性能標準が決議されて、前項の条約によって装備されるレーダーの性能が規定されることになった。この結果、わが国の場合

  • (i) 条約によって装備を強制される船舶用のレーダー
  • (ii) (i)以外の船で法規によって、その装備を強制される船舶用のレーダー
  • (iii) 任意装備用のレーダー

の3種類のレーダーが作られており、運輸省の法規によって(i)と(ii)のレーダーは型式承認が、また、郵政省の電波法ではこれらのすべてのレーダーについて型式検定がなされ、それぞれの性能要件を含む法規が決められているが、それらは「装備艤装工事編」に詳しく述べられている。さらに1981年11月のIMOの会議では、前記の条約が再び改められ、特別に反対国がなければ、1984年9月からは500総トン以上の新造船も条約によってレーダーの装備が求められ、また1988年改正条約により1995年2月1日以降は国際航海に従事する旅客船及び総トン数300トン以上の船舶に9GHz(3cm波)レーダーの装備が義務づけられた。

 このように、船舶用のレーダーは、国際条約と国内法令による規程によって船舶へ装備されているものであるが、例え、そのような法令がなくても、現在では航海上欠くことのできないものとなってきている。したがって、安全な航海をするためには、レーダーが常に製造直後で、かつ、正しく船舶に装備され、調整された状態と同じ性能を保っていなければならない。

 しかし、残念ながら現在の船舶用のレーダーには、なお、マグネトロン、CRTなどの寿命のある部品が残っており、また、空中線やCRTの部分の回転機構などに機械的な部分も少なくない。そのうえ、空中線、送受信部(これらは一体型と別個装備のものがある。)など過酷な環境条件にさらされているものも多い。となると、船舶用レーダーが常に定められた性能を出すためには、日常の保守整

 

 

 

前ページ     目次へ    次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION