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αの大きさに応じて、位相遅れψが大きくなり、したがって、入力の力率も低下するようになる。全ア一ムがサイリスタで構成される三相全波ブリッジ整流器の場合はα=φとみなされるので、この場合の1相分の負担する基本波入力電力Pは、交流電圧実効値をVとすると、P=V・I1・cosα1で示される。処で、直流出力電圧はCOSα1に比例して低下し、一方cOSα1は入力力率相当するので、上式は出力電圧の低下と共に入力力率が低下することを意味している。直流電動機の始動の場合のように、サイリスタ整流器の出力電圧を低下させて始動電流が流される場合には、以上の理由から突発的な無効電流がかなりのものとなり、電源系統電圧の瞬時降下を引き起す恐れがあるので注意を要する。
2・7・3非常電源用インバータ
直流から交流にエネルギーを変換する装置をインバータと称するが、船舶で一般に採用しているインバータは主として航海灯などの重要負荷に対し主電源停電時の緊急給電用のもので、蓄電池を電源とする静止形のものである。これ等の静止形インバータは一般に並列インバータという結線方式のもので、その基本動作は図7・26(a)に示すように変圧器の一次側の巻線を2分割し、その各々に交互のスイッチを切り替えて電流を流してやると、高圧側の二次巻線に交流電圧を誘起する原理に依っており、このスイッチに相当する部分をサイリスタによって置き替えたものである。単相並列インバータの回路では図7・26(b)に示すように2箇のサイリスタが配置されサイリスタのゲートにはトリガ信号(点弧信号)が交互に与えられる。サイリスタS1が導通すると変圧器巻線an間に蓄電池電圧と同じEなる電圧がかかるので、巻線の両端には変圧器作用により2Eの

 

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図7・26 単相並列インパータの結線図

 

 

 

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