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4−3. パナマ国の検査制度

前章でも述べた通り、パナマやリベリアのような国は、世界屈指の在籍船舶を有するものの、これらは所謂便宜置籍船であり、世界の主要海運国でも造船国でもなく、政府組織に在籍船舶隻数に応じた船舶検査部門を有することは期待出来ないが、しかし国家としては、世界の主要船級協会等を活用して、国際的な取り決めは遵守するべく真面目に努力していると言われている。
因にパナマの在籍船舶隻数は約13万隻、10億総トンに達する。(平均7,700トン/隻)
船舶検査、登録の担当部署は、財務省、領事・船舶局(SECNVVES)であるが、検査の実務は同国のニューヨーク事務所・海事安全部(Maritime Safety,Directorate of Consular and Maritime Affaires−SEC-UMAR)が取り仕切っている。同部の代表者は唯一の米国人Capt.Fioreで、船級協会などには広く知られている。
パナマが船舶の総トン数の測度及び安全検査に活用している機関は、ロシアの船級協会を除くlACSメンバーとギリシャの船級協会、そして同国の船級協会に類似した業務を営む3機関の計14機関である。
船舶検査官として300人ほど(登録人数は約400人)擁しているが、フルタイムで雇用されているのは30人程で、他はパートタイムである。検査官はもとキャプテンや船級協会のサーベイヤー、或いは造船技師で、所謂PSC的な検査を実施し、その人件費は年間100万米ドルに達する。
登録関係職員は200人を擁し、うち15人がニューヨーク事務所にいる。
SOLAS条約証書、満載喫水線証書等は船級協会が作成したものにサインをする。ただし、免除証書は政府が発給するとのことであった。入手した法令集によると、’74年SOLAS、’66年LL、及び’72年海上衝突予防条約にもとづく検査は、ロシアを除くlACSメンバーとギリシャ、ユーゴそしてパナマの船級協会の検査をオーソライズし、更にNational Cargo Bureau,lnc.には穀類輸送のドキュメントのみ、またSaint Electronicsには無線電信電話証書のみの発給をオーソライズしている。(附属資料10の?−3.)
別の入手法令集によると、あらゆる海事関係条約にもとづく技術証明書の発給を、ロシアを除くIACSメンバーと、ギリシャ、ユーゴ、ポルトガル、そしてパナマの船級協会、並びにPanama Register Corpora−tionの15機関に委任している。(附属資科10の?一2.)
最新の情報は”Marchant Marine Circular”(商船回章)を調べなければ正確には分からないと言えよう。基本的な法律はあるが、SOLAS条約の改正、技術基準の細部等はこの商船回章で船級協会等に流し、適用している。
1996年9月には、’93年SOLAS決議書A.739「行政の業務を代行する業者の承認に関するガイドライン」に沿って改めて証明手続にかんする規則をSECNAVESにて定め、SECNAVESから直接通達しており、’97年からは以上に述べた政府から委任された船級協会等は変更されている可能性がある。
また、同じく1996年9月行、ニューヨークのSEGUMARから、ISMコードの適用に関する通達を、”MarchantMarine Circular No.95”として通知している。ISMコードにもとづく船社及び船舶の管理システムの審査機関としては、ロシアおよびポーランドの船級協会を除くIACSメンバーとギリシャの船級協会の10協会

 

 

 

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