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SlPによるとUSCGとABSは、共に監督業務を主とするものとなる。ISMコードの船社及び船舶の管理システムの審査機関としては、当然ながらABSを指定している。(33頁、資料3−1−2。参照)
ABSは検査試験業務として、ABS規則に適合することの証明、USCG、SOLAS等の規準に適合することの証明、メーカー規格に適合することの第三者としての証明を申請に応じてする。ただし、その証明は“製造者や販売者が本来負うべき責任を免除するものではない”旨明記している。
消火器などは、法定必要数量以上に搭載するもの(余剰設備)も、非検査船に搭載するものについてもUSCGの承認品を使うこととしている。一方携帯用の消火器についてはUSCGの規格を廃し、UL規格を採用している。(59頁、資料3−1−4)
UL(Underwriters Laboratories)は1893年シカゴで開かれた博覧会での火災を契機に設立され、当初火災保険業界が運営資金を提供していたもので、平成5年に当協会の調査団が船用品を扱うノースカロライナの試験場を訪問し、調査報告に詳述している。
「規格を採用している団体は数多く、リストアップ出来ない」との談であったが、連輸省調査によると船舶用役器の規準認証に関してWyleはLaboratories,Detroir Testing Laboratories、Factory Mutual、Natural Sanitation Foundation等の団体があるが、それらのうちULはABSと共に最も重要な団体としている。
当協会として関心のある膨脹式救命いかだの整備事業場の認可は、製造メーカーの申請が基本である。我が国のサービスステーションが承認されるためには、米国の承認品のメーカーのライセンスを受け、メーカーに承認申請して貰うことになる。
型式承認の対象が外国製品にも拡大されたとの情報であり、また、ABSの型式承認がコーストガードに認められることになったことから、その対象品目はABSの型式承認物件一覧からある程度知ることができると考えられるが、この型式承認物件一覧(附属資料11、入手資料、)ストの?−5)にある救命艇や救命いかだについては、適用規則は単に”SOLAS”とされ、”USCG”の文字はない。USCGとの質疑応答でも回答はやや歯切れ悪くなっている通り、これら救命設備に関しては^BSへの移行、立会を要する承認試験項目とも不透明な面があり、基本的には型式承認受けようとする場合は、個々の物件毎に尋ねる必要があろう。
1996年の法改正により、今後2年間で船級協会への検査の移管が実施されるとのことであるが、当面最も関心がもたれるのはISMコードとSIP採り入れの具体策であろう。この内容が明確になるには2年ほどかかるとのことである。

 

4−2. カナダ国の検査制度

カナダは所謂伝統的な海運国ではなく、世界の主要造船国でもない。先進国首脳会議メンバー国の中でも船級協会を有しない唯一の国である。しかし極寒の海を領海とするだけに、同国周辺氷海域を航行する船舶に対する「北極海汚染防止法」(CANADA ARCTlC WATERS POLLUTION PREVENTlON ACT)は世界でも稀なものである、我が国では「遠洋区域」は“すべての水域”とされているが、カナダの領海内の航行は、季

 

 

 

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