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第4章 米国・カナダ・パナマにおける船舶安全

関係法令と舶用機器等の検査制度
(まとめ)
本章では、前章までの質疑結果に、運輸省から得た情報及び訪問先から得た資料も参照して、3カ国の検査制度に関してまとめた。

 

4−1. 米国の検査制度

米国には合衆国法典(US Code)があり、これが日本の船舶安全法に相当する。法典には抽象的な規定しかなく、詳細は連邦規則(Code of Federal Regulations−CFR)の”46”を見れば十分とのことであり、これらは東京アメリカン・センター資料室に行けば閲覧できる。CFRの”47”は電波通信関係規則であり、船舶の無線設備はこの47CFRが適用される。
船舶検査の担当組織はもとより沿岸警備隊(米国コーストガード−USCG)であり、検査官はOCMI(Offi−cer in Charge,Marine Inspection)と称する。米国内42カ所のほか、海外の支局にも駐在委員としている。従って日本のような海外出張検査はない。この検査官は船舶検査のみを任務とする者もあるが、通常は他の任務を兼務する。従って特に検査官の人数は問わなかった、
合衆国法典では船舶検査を船級協会に委ねる事ができるとされ、その対象はABSのみに限定されていない(Title46 U.S.C.3316)。コーストガードが委任の権限を有し、米国籍船舶の検査をUSCGに代わり検査出来る船級協会は、結果的にはABSのみとされている。ABSに委ねる範囲は現在拡大が検討されているが、ABSによるとその検討は遅々としているとのことである。現在USCGがABSに検査を委ねている範囲は、トン数測度を除き我が国と類似している。ABSの測度がUSCGに認められることになったのは1982年で、∪SCGとABSとのこれら協定の推移の概略は、ABS訪問記の資料3−1−3(58頁)に要約されている。
船舶の検査機関はUSCGとABSのみで、日本の小型船舶検査機構のようなその他の機関はない。無線設備に関しては、連邦通信委員会(FCC−Federal Communications Commission)が単品検査から船上での検査まで実施し、USCGはその確認のみする。無線関係証書もFCCが発給する。
運輸省海上技術安全局資料によると、漁船の検査はしていないが構造設備に関する規定はCFRにあり、自主検査の指針として用いられている。検査のインターバルは旅客船が1年、その他の船舶が2〜3年と、日本と同様である。また満載喫水線とトン数測度については、AESのほかDNVの検査結果を認めているとしている。
検査の合理化策の一環として現在具体的に検討されているのは、SOLAS条約第9章「国際安全管理コード」(ISMコード)の採り入れと、自主検査制度の採用、そしてABSへの検査委任の拡大である。自主検査制度(Self Inspection Program)は”Streamlined Inspection Program一SlP”と称し、現在試験中であり、これに関しては2年ほど待って欲しいとのことであった。ISMコードの施行と表裏一体と考えられるが、

 

 

 

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