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11. まとめ

まず、自己復正型及び天幕付両面型のそれぞれの型式につきLSAコードA.689改正案に規定される予定の性能・試験基準案を整理、検討した。
つぎに、これらの性能要件等を満足する各種基本構造の救命いかだ、即ち、天幕付両面型救命いかだ3タイプ、自己復正型1タイプにつき、それぞれの性能上の問題点、加工性、重量・サイズ、価格等につき比較検討した。その結果、在来の救命いかだの寸法、艤装品配置等に若干の変更を加えた自己復正型が最良とされたので、これを試作することにした。
在来の救命いかだに自己復正能力を付加させるため、改良した主な点は次のとおりである。
?いかだの幅は狭く、高さは高くする
?天幕支柱(気柱)の径を大きくし、剛性を増加させる
?天幕を円弧状にする
?下部主気室の幅を上部気室より狭くする
?艤装品収納袋の形状を細長くし、中央より空気ボンベ側に寄せて取付ける
?ボンベ側の天幕部に通気孔及び監視窓を設け、倒立状態の時に入った内部の水を抜けやすくする。
試作品に対しては、非浸水時及び浸水時(浸水高さ、10,200,300?)のそれぞれの場合につき復原性計算を実施し、いずれの場合においても自己復正力を保持する形状、寸法であることを確認した。
最後に、試作品の自己復正性能等を、つぎの試験により調査検討した。
まず、水上で反転状態の救命いかだの自己復正性能を調整するため、膨張していない状態の救命いかだを水面に逆転の状態で浮かべ、ボンベにより膨張させた。膨張開始直後に天幕が座屈し、約160度の横転状態で静止し、完全には復正しなかったので、内部の浸水数十リットルを排除した。その結果自動復正を完了した。
つぎに、救命いかだをコンテナに収容した状態で水面下約5mに沈め、水面上からの操作により架台から離脱させた。いかだは、コンテナを半分開いた状態で浮上し、正立状態で膨張を開始し、約20秒で使用状態になった。
最後に、高さ18mから救命いかだをコンテナに収納した状態で落下させ、20分間浮遊させた後、手動で膨張させた。いかだは正立状態で膨張を開始し、約20秒後、正立のままで膨張を完了した。

 

 

 

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