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能性を判断するため、復原性計算を実施した。いかだ重量を171?、上下の重心位置は1.76m(2m−0.243m)、前後左右の重心位置は中央にあるものとし、各部の変形はなく安定水のう内に水はないと仮定した。反転状態の排水量テーブルを表15に、反転状態での天幕内の海水容積重心高さ(KG)、慣性モーメント等を表16に示す。
天幕内部の海水の量は、100?の高さで約200?、200?の高さで約500?及び300mの高さで約1000?の場合について計算を行った。計算結果を表17に、また復原力曲線を図5〜7に示す。表17より、浸水量が少ない程、反転状態を維持しようとする復原力が大きく、浸水量が増加するとともに復原力が減少することがわかる。浸水海水量約200?の場合の復原力偶力てこ(カ)最大値GZmaxはO.395mであり、これに対し救命いかだの重点は、右に0.551mずれている。よって、自己復正偶力てこは0.500m以上(図3、図4参照)であるので、天幕内に浸水した場合でも、いかだの自己復正力は十分と思われる。

 

8.4 試作品の設計及び製作

試作原案をもとに一次試作品を設計した。設計内圧は現在と同様の100?Hg、安定水のう、その他の部分は現在とほぼ同様の設計配置とし、試作品を製作した。その概要を図8〜9に示す。
従来型との主な相違点は以下のようである。
(1)天幕支柱の形状を円弧型にしたため、全高が高い。(1600?→2000?)

(2)主気室の幅を狭くし、縦横比を2前後とした。

(3)天幕支柱気室の剛性を上げるため、気室径を大きくした。(240?→290?)

(4)下部主気室の幅を上部主気室より狭くした。

(5)ボンベを2本共、底面付近に取付け、上部主気室へは導管によりガスを導く。

(6)ボンベ側の天幕側部に通気孔及び監視窓を設け、天幕内の水を抜けやすくする。

(7)艤装品収納袋の形状を細長くし、中央よりボンベ側に寄せて取り付ける。

(試験の状況により床上及び、床下どちらにも取付可能にしておく)

 

 

 

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