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2.レーダ電波用吸収体について

前述したように、理想的な電波吸収体では広い帯域が必要な場合があり、その帯域全体に亘って、ある反射係数以下にするためには、多層構造あるいはテーパ構造にし、かなり厚い吸収体でなければ実現できない。一般の電波暗室ではこのような吸収体が使用されている。
しかし、レーダ周波数だけを目標にするならば、9320−9500MHzだけを考えればよいので比較的簡単に単層で薄い吸収体を作成できる。

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図2 単層電波吸収体

レーダ周波数に対する電波吸収体として実用的と考えられるのは、カーボンゴム及びフェライトゴムである。これらの場合、混合するカーボンやフェライトの混合比と厚さを適当にすることによって、要求を満足するものを製作することが可能である。
一般に単層電波吸収体は図2に示すように、金属板で裏打ちされている。この吸収体に電波EOが入射すると、吸収体前面で一部反射され(ER1)、残りのET1が中に入って行く。この透過電波は吸収体中で減衰されながら後面金属板に達する。そこで完全反射された電波は減衰を受けたのち、吸収体前面に達し(EB2)、その一部は反射されて吸収体の中に戻り(ET2)、残りは外に出ていく(ER2)。
以後この過程を無限に繰り返すことになるが、実際には吸収

 

 

 

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