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F編 電波吸収体

1. 電波吸収体の原理

到来電波の反射を少なくするような材料を電波吸収体と言う。理想的な電波吸収体は、入射した電波の周波数や到来方向、偏波(電界の方向)に関係なく電波エネルギーを完全に吸収して、反射を全く生じさせないものである。しかし、そのような理想的な電波吸収体は存在しないので、使用目的に合わせて種々開発されている。
実用的な電波吸収材料として、抵抗皮膜、カーボンゴム、カーボン含有発泡ポリスチロール及び発泡ウレタンなどの誘電吸収材と、焼結フェライトやゴムフェライトなどの磁性吸収材がある。
前者の誘電吸収材は導電伝流による損失などによるもので、加えられた高周波電界によって電波が吸収される。この誘電損失の項は次の複素比誘電率εγの虚数部εγ"に関係する。

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後者の磁性吸収材は、高周波磁界によって吸収される磁性損失で、複素比透磁率μ7の虚数部μ7"に関連するものである。

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図1 電波吸収体表面での反射と透過

 

 

 

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