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れ、それらは格納箱に収納するか格納用のブラッケットに取付けられている。その際、アンテナを折り曲げて、本体に引っ掛けておいて、使用の際にそれを外して立てる形をとるものがある。本体は、プラスチックまたは非腐蝕性の金属でその中に電源と電子装置が収納されている。
電源は普通は一次電池で、主としてマンガン系のリチューム電池が使用されているので、それらの電池の性能と取扱については、406MHzのEPIRBの該当の項を参照されたい。
電子回路は、121.5MHzと243MHzとを所要の電力で送信するそれぞれの送信機、その送信電波に所要の信号を付ける変調回路、水晶発振器および電池からの電圧を電子回路の各部に安定した電圧で送るための定電圧回路などから構成されている。121.5MHzと243MHzとは、1対2の関係にある周波数で、送信はこの二つの周波数の送信を同時にするものでも、ある時間間隔で交互に送信をするものでもよいことになっている。この二つの電波はA3Xという変調形式をとることになっている。このAは両測波帯の振幅変調、3は一つだけのアナログ音での変調、Xは伝送形式がその他ということで特に規定はされておらず、この場合、普通は、人が耳で聴守するものである。実際の変調は、300Hzから1600Hzという人が聞ける範囲の音の幅1300Hzの内の任意の700Hz以上の幅を、毎秒2〜4回のわりで周波数を高い方から低い方へと変化させる音の変調で、耳で聞くと「ピュー」「ピュー」と聞こえるものである。ただし、このEPIRBの場合は、このピューピュー音のみで、送信局を示す識別符号は全く付されていないので、その送信が、何という船からのものであるかと同時に、その送信が船舶からか、航空機からかも分からないことになっている。余談であるが、この周波数の航空機用のELTには、旅客機などで、救命いかだに持込んで使用するものと、小型機の機体の上にアンテナを、機体の中に送信機を装備しておいて、墜落のショック(衝撃の加速度)で送信のスイッチが自動的に入るものとがある。後者は乱暴な着陸をすると発信するという誤報も多いとのことである。

3. 121.5/243MHzEPlRBの性能

主として法規などからこのEPIRBの性能などを見ていくことにする。まず、SOLAS条約の関係規則からはすでに削除されているが、それらは要約すると次のようであった。
(1) 手動により始動する1のEPIRBを、各舷に備える。このEPIRBは救命用の端艇およびいかだに迅速に設置できるように備える。船の長さが長いときに増備される生存艇にはその必要はないことになっている。
(2) EPIRBは、航空機が救命用の端艇およびいかだの位置を決定することを可能にする送信を行い、そして、警報目的の送信をすることもある。
(3) EPIRBは、少なくとも国際民間航空機関(ICA0)関連の標準と勧告方式に適合する信号を交互又は同時に121.5MHzと243.0MHzの周波数で送信できること。

 

 

 

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