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1.2 双方向無線電話装置の電池(密閉型ニッケル・カドミウム蓄電池)

双方向無線電話装置の電源には、マンガン電池、アルカリ・マンガン電池、マンガン・リチューム電池などの乾電池(一次電池)か、何らかの充電式の蓄電池(二次電池)が使用司能であるが、マンガン電池とアルカリ・マンガン電池は、すでに、遭難信号自動発信器整備技術指導書に、また、マンガン・リチャーム電池はB編1.4機器整備技術指導書に述べられており、現在のところ、わが国の製品はすべてニッケル・カドミウム蓄電池が使用されているので、ここではこのニッケル・カドミウム蓄電池について述べることにする。
電解液に水酸化カリウム(KOH)などのカセイ・アルカリの濃厚水溶液を使用した二次電池がアルカリ二次電池で、ニッケル・カドミウム電池もその一種であり、鉛蓄電池とともに蓄電池の主要なものとなっている。このニッケル・カドミウム蓄電池は、1899年スウェーデンで、据付型の蓄電池として発明されたが、1932年におけるドイツでの焼結式のニッケルの多孔基板の発明と、1947年のフランスによる完全密閉化の開発により、小型の電子機器の電源として多用されるようになり、今日に至っている。
密閉型ニッケル・カドミウム蓄電池は、乾電池と同様の使い安さで使用可能であり、低温での高率放電にも耐えるという特長をもっている。以下、この電池の特性と使用上の注意事項を簡単に示す。
(1) 公称電圧は素電池当り1.2Vであるが、重負荷での放電中でも電圧低下はなく、十分の容量を取出しうる。
(2) 低温での性能の低下は比較的少なく−20℃でも容量の60%を取出しうるとされている。
(3) 内部抵抗は極めて低く、0℃まではほとんど変わらず、−20℃で常温の2倍になる。
(4) 定電流で充電をすると、充電が満了近くなると端子電圧が上昇するとともに、正極から酸素ガスが発生し、電池の内圧が上昇し、電池の温度も上昇する。内圧が上昇すると、負極のガスの吸収が始まり内圧は一定のままに止まる。これらの効果をとらえて、過重電を防止する充電器もある。
(5) 専用の充電器を使用するときを除いて、急速充電は避けること。
(6) 自己放電は20℃で、1か月当たり15%程度であるので、無線機は使用しなくても定期的に電池は充電する必要がある。
(7) 100%の充放電を繰返しても、常温ではサイクル寿命500サイクルと丈夫であり、常温では、5年程度の使用に耐えるが、45℃では1年半、55℃では半年と高温になると短寿命

 

 

 

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