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D編 双方向無線電話装置

第1章 総論

1.1 双方向無線電話装置の解説
持運び式双方向無線電話装置および固定式双方向無線電話装置(電波法では、区別なく双方向無線電話)は、船舶の遭難時に、生存艇に避難をするときなどに、生存艇相互間の連絡、生存艇と本船間(本船はそのVHF無線電話装置でも、双方向無線電話装置の内の1台を使用してもよい)および救助船と生存艇間の連絡通信に使用される小型の無線電話の送受信機である。名前の示すとおり、その種類としては、常時、操舵室などに格納しておいて非常の際に取出して使用する持運び式のものと、予め救命艇などの生存艇に固定装備しておくものとがある。この無線袈置の特に持運び式のものは他の遭難用の無線装置とは異なって、必要な場合は船内通信用などにも使用できるものとすることも可能である。
この両双方向無線電話装置は、国際VHF「無線電話の無線通信規則(RR)の付録第18号で規定されている中から、16チャンネル(156.8MHz、遭難、安全及び呼出し)を含む2波以上のを備えることになっているが、より多くのチャンネルを備えることは自由である。RRの付録第18号では、船舶間の通信は、一つの周波数を使用して、送受切換で音声通信を行うことになっているので、この双方向無線電話装置も、スイッチのボタンを押したときだけ送信状態となり、その他の時間は受信となる“プレストーク式”の無線機であり、持運び式のものは、アンテナ、マイクロホンおよびスピーカ、電源電池などが一体なものとなっているが、固定式のものはアンテナは別に取付け、また送受切換えスイッチ付きの送受話器であるハンドセットを送受信機とは別に設ける場合もある。
RRの付録18号は、主として国際VHF無線電話の船舶相互間の通信(1周波数)のほか、港務通信と船舶通航通信(ともに1周波数と2周波数がある)と陸上の電話にも接続できる公衆通信(2周波数)の割当周波数を01〜28と60〜88(75、77は16チャンネルの保護周波数で欠)の55チャンネルに分けて規定している。これらに共通なのは、16チャンネル(156.800MHz)の遭難、安全、呼出しと70チャンネル(156.525MHz)の遭難、安全、呼出しのためのデジタル選択呼出しの2チャンネルがあるが双方向無線電話はデジタル選択呼出しとは無関係である。双方向無線電話が使用する船舶相互間の通信のチャンネルは、一部1周波数の港務通信のチャンネルと共通であるが、06(156.300MHz)、67(156.375MHz)、08(156.400MHz)、09(156.450MHz)、10(156.500MHz)、12(156.600)、73(156.675MHz)、

 

 

 

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