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の掃引時間が遠方の物標対応になるに従いレーダーの受信感度を自動的に変化(上げる)させるもので、連続司変の方式を採る。荒天時にレーダー近傍の波浪の反射によりブラウン管の中心部に表示される煩わしいシー・クラッター(波の映像)を消去して見易い映像にするなどの目的で使用される。
一「観測モードの切替」:
ヘリコプターや航空機用レーダーでは、比較的近距離の物標を細かく見る目的の「捜索/マッピング・モード」、着陸誘導用電波標識を見る「ビーコン・モード」、遠距離の積乱雲を見て回避して航行の安全を計る「気象モード」などの観測対象により自動的に送信パルス幅、繰返周期、受信帯域幅を切り替える装置が多い。
これらのレーダーの調整機構はSARTを相手方とする時にも有用であり、SART対応の操作の詳細に関しては第3項で解説する。
1.2 レーダーを相手方とする装置
意志や情報の伝達手段としての「通信」はその方式と装置において既に完成された技術と言って良く、今後のエレクトロニクス技術の適用は、安全確保などの手段としての前章で解説した「位置」を求めるレーダー技術の応用や付随する「識別」の分野に向けられるものと考えられる。この章では、レーダーを相手方とする装置の現状と動向を解説する。
1.2.1 レーダービーコンとレーダートランスポンダー
前章で解説したとおりレーダーは航行を援助し安全を計るための航海計器として現用されており、その有用性の故に全世界的に普及している。IMOでは1971年の第7回航行安全小委員会から、レーダー装置の改造無しに有効な相手方装置が無統制に開発されてレーダー映像上で混乱が起こりレーダー本来の使途を害することがないよう用途を制限する研究が行われていた。
1980年IMOの第11回総会で決議書Res.A.615「レーダービーコンとレーダートランスポンダー」が採択されて、灯台やブイに設置して航行を支援する「航路標識用レーダービーコン」と海難時に使用する「捜索救難用レーダートランスポンダー」(SART)の使用が認められ、更に1987年第15回総会で決議書Res.A.615に改訂されて航行不自由のタグ

 

 

 

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