日本財団 図書館


 

1.6 406MHz極軌道衛星利用EPIRBの規格と試験方法
GMDSSのためのSOLAS条約の改正条文では、この406MHz帯で運用する極軌道衛星業務経由の衛星EPIRBのとう載要件は第?章の第7条から第10条に規定されている。それらを要約すると、国際航海に従事するすべての旅客船及び300GT以上の貨物船は、A1海域のみの航海に従事する船舶で、DSC(デジタル選択呼出)によるVHFのEPIRBを備えるとき、または船舶がインマルサット衛星の通信範囲のみを航行するときで1.6GHz帯で運用する静止軌道利用EPIRBをとう載する場合以外は極軌道衛星業務経由の衛星EPIRBをとう載することになっている。この衛星EPIRBは次の要件を満足しなければならない。
(1)容易に近づきうる場所に設置すること。
(2) 手動で容易に解放することができ、生存艇の中に1人で持込むことができること。
(3) 船が沈んだ場合に自動的に浮上し、かつ浮上したとき自動的に作動することができること。
(4) 手動でも作動させることができること。
(5) A1海域を超えてA2海域、A3海域またはA4海域を航行する船舶のこの衛星EPIRBは、船舶が通常操船される場所に近接した場所に設置するか、またはその場所から遠隔作動できるものとする。
また、改正条約の第1V章の第14条で、これらのすべての設備は、主管庁による型式承認を受げ、IMOによって採択された性能基準を下回らない適当な性能基準に適合するものでなければならないと規定されている。
このIMOによって採択された性能基準は、1987年11月のIMOの第15回総会で採択され、第18回総会で一部改正された決議A.763(18)406MHzで動作する自由浮揚型の衛星EPIRBの性能標準の勧告と、1989年10月の第16回総会で採択された決議A.622(16)非常用無線装置の自由浮揚の開放と動作開始機構の性能標準の勧告とである。この両勧告にある要件を列挙すると次になる。
(1) 衛星EPIRBは、無線通信規則、関連のCCIR(無線通信諮問委員会)の勧告(現在は、電気通信連合(ITU)の改組によりITU−Rと変更)およびIMO総会の決議A.694(17)で規定した一般要件(ここでは省略)に適合すること。
(2) 衛星EPIRBは、極軌道衛星に遭難警報を送信できること。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION