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という二つの動作機能を合せ持つことが必要になる。わが国の場合、船舶救命設備規則では、浮揚型と非浮揚型との2種類の極軌道衛星利用EPIRBを規定し、その積付方法としては、「浮揚型極軌道衛星利用非常用位置指示無線標識装置は、非常の際に救命艇又は救命いかだに運ぶことができ、かつ、船舶の沈没の際自動的に浮揚して船舶から離脱するように積み付けなければならない。(第95条の3)」「非浮揚型極軌道衛星利用非常用位置指示無線標識装置は、船橋その他適当な場所に積み付けなげればならない。(第95条の4)」と規定している。これは、上記の(1)と(2)を、浮揚型一つで満たせれば問題ないが、それが不可能なときは、(1)を非浮揚型で、(2)を浮揚型で満たすよう考えたものである。
なお、IM0の第18回総会でのこの406MHzEPIRBの性能の決議の改正は、このEPIRBに航空機によるホーミングのための121.5/243MHzのEPIRB信号の追加を義務付けるものである。この追加信号の義務付けは諸外国のEPIRBのほとんどが、すでに装備されていたのに対して、わが国の場合は郵政省の方針によってその装備が禁止されていたものである。改正決議では1994年11月3日以前に装備してあるEPIRBは古い規格のものでよいことになっている。
船舶救命設備規則などには、この極軌道衛星利用非常用位置指示無線標識装置の船舶への備え付けの要件について、国内船を含めて次のように規定されている。すなわち、船舶救命設備規則の第77条では、第2種船又は第4種船であって次に掲げる以外のもの、第1種船及び第3種船には、1個の浮揚型極軌道衛星利用非常用位置指示無線標識装置を備え付けなければならない。
1.平水区域を航行する船舶、
2.沿海区域を航行する船舶であってその航行区域が瀬戸内(危険物船舶運送及び貯蔵規則第6条の2の3第3項の瀬戸内をいう)に限定されているもの、
3.第57条第2項[沿海区域を航行区域とする第2種船で、当該最強速力で2時間以内に往復できる区域に限定されているもの]又は第69条第2項第1号[航行区域が平水区域から当該船舶の最強速力で2時間以内に往復できる区域に限定されているもの。ただし、管海官庁が差し支えないと認められる場合に限る]の船舶。
また第77条の2では、前条[第77条]に規定する船舶には、1個の非浮揚型極軌道衛星利用非常用位置指示無線標識装置を備え付けなければならない。ただし、浮揚型極軌道衛星利用非常用位置指示無線標識装置を船橋その他適当な場所に積み付け、又は当該場所から遠隔操作できるように積み付けるもの及び管海官庁が設備を考慮して差し支えないと認める船舶にこの極軌道衛星利用非常用位置指示無線標識装置が備え付けを要求されることになった

 

 

 

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