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を掃引して電波を発信する装置である。この掃引は12回繰返されるので、救助船のレーダーには12ケの輝点列が表れ、遭難船または生存艇の位置が確認され、的確にホーミングすることができる。
(6) ナブテックス(NAVTEX)海上安全情報の放送を自動受信するシステムで、全世界の沿岸で共通の中波518kHzを使用して英文情報を送る狭帯域印刷電信システムである。同一のナバリア内では、時間的に逐次送信が行われるので混信はしない。我が国では、この英文放送の他に、424kHzを用いて日本語の文字放送もあり、専用の受信機で受信印字する。送信情報には航行警報、気象警報、捜索救助警報、各種航怯システム情報などがあり、警報以外は希望する情報を選択して自動受信できる。ナブテックス海域以遠に行く場合は、インマルサットの高機能グループ呼出(EGC)を受信することが必要となる。このためには、船上装置のアンテナはインマルサットAまたはCと共通でも、専用の受信処理印字装置を搭載しなければならない。
(7)この他、在来のシステムとの引継ぎを計るため、GMDSSが完全実施される1999年までは無線電話遭難周波数2187.5kHzのDSCと2182kHzの無線電話の送受信設備と、2187.5kHzのDSCの聴守受信機が要求されている。また、SART信号受信のために、航海用レーダーの1台は9GHz帯のものでなければならないことになっている。

4.GMDSSの適用水域と船舶への装備要件等

GMDSSでは、世界の海を次の四つの水域に分け、それぞれの水域まで航行する条約船に対して装備すべき無線設備を規定している。(図3参照)

? A1水域:陸上にあるVHF海岸局の通達範囲(その局から20〜30海里)
? A2水域:陸上にある中波(MF)海岸局の通達範囲(その局から150海里程度)ただしA1水域を除く
? A3水域:静止型通信衛星の通達範囲(緯度約70度北及び約70度南より低緯度範囲)ただしA1とA2水域を除く
? A4水域:A1、A2、A3水域以外の全水域(緯度約70度北及び約70度南より高緯度範囲)
これに若干の解説を加えるなら、A1水域はおおむね海岸局からの見通し範囲であるが、VHF海岸局からの通達範囲であるので、局がなければ、海岸に近くてもこの範囲には入らない。我が国では、VHF海岸局を設置していないので、A1水域は設定していない。従って前述したようにVHFEPIRBの装備船舶は居ないことになる。A2水域は、海岸から150海里程度の水域であるが、この場合も、MF海岸局からの通達範囲という制約がある。我が国の場合

 

 

 

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