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6.2 船舶における法規検査

船舶の安全を確保するためには船体、機関、設備等に対する設計、製造及び使用による安全品質の作りこみと維持が必須の条件であるが、同時に各段階における品質の診断作業即ち検査工程が重要な役割りを有している。
検査は、その目的、手段、実施機関等によって法規検査、第三者検査、自主検査、資格者検査など、各種に分類されるが、一般に規則、規格、基準に従って物件や部品の品質が一定水準以上あることを判定する業務が主体となる。
ここでは、法規に定められた方法と基準によって法目的に適合することを審査する政府による検査(便宜上、本項では法規検査という。)について概説する。
(1) 法規検査の種類
船舶の法規検査については法第5条及び第6条に検査事項及び検査の種類を規定している。即ち第5条では船舶について船体、機関、諸設備等についての定期検査、中間検査、臨時検査、臨時航行検査、特別検査を規定し、第6条では特定の船舶について船体、機関、排水設備についての製造検査ならびに特定物件についての予備検査と法第5条の検査の省略を規定している。また、法第6条ノ2では特定物件に対する工事の認定と、法規検査即ち第5条及び6条の検査の一部省略を規定している。
船舶安全法施行規則では第3章に検査の省略、検査の種類及び時期、検査準備、予備検査物件、検査申請手続等が詳細に規定され、これに基づいて法規検査が実施される。これらの法規検査の関連を資料6.2船舶の法規検査体系として示した。
機関等は通常設計検査、製造中の検査、第1回定期検査、中間検査、定期検査(第2回以降)、及び臨時検査の過程に従って検査が必要となっており、製造及び使用部門の総合安全管理のもとで船舶の安全が保持される。
製造検査、予備検査、第1回定期検査は船舶又は物件の新造時の検査で、改造又は修理の場合を含めて新しく製造する物件にも適用される。また中間検査、第2回定期検査、臨時検査等は船舶の就航後の検査であり、機関の場合は、解放などの方法によってその安全性が確認される。即ち初期の安全品質は、設計の検査、製造工事中の検査、試運転及び効力試験により、また使用中の品質は、定期的な解放検査等により、その安全性と製造者及び使用者の安全品質維持に対する体制のチェックを行うことにより総合的な船舶の安全確保をねらいとしている。

 

 

 

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