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6 船舶安全法関係法規

 

6.1 船舶の安全に関する法規の体系

船舶の安全を規制した法規は「船舶安全法」(以下、法という。)とこれに基づく政令、省令、告示、通達等であり、船体、機関、電気設備、排水設備等の諸設備に関して、その構造、強度、機能、設置要件、安全装置、試験検査、運航保全、証書発行などを定めている。
法制定の目的は、法第1条に明記されているとおり、船舶の堪航性と人命の安全を確保することであり、これを基本要件として法体系が成立っている。即ち、法においては安全に関する網羅性と普遍性から条文表現は抽象的になるので、より具体的な規定とするためには、肉付けや補完が必要で、資料6.1に示す各種関係規則、告示または通達が体系的に制度化され、船舶検査制度として法の趣旨に沿う円滑な運用が図られている。
このように法を頂点とした政省令等が多種多様に規定されているが、各個の規則は運用の便のために一般に規制する物件や対象とする安全要件ごとに集約されており、例えば、機関の構造や強度については「船舶機関規則」、電気設備の構造や試験等については「船舶設備規程」、船舶(機関及び他の設備を含む)の検査等については「船舶安全法施行規則」、認定事業場制度については「船舶安全法の規定に基づく事業場の認定に関する規則」があり、いずれも省令として公布されている。さらに、これら各規則の詳細な解釈運用等について「船舶検査心得」、試験検査の方法について「船舶検査の方法」などが通達として示されている。
船舶の安全に関連する各法規の名称と概要は資料6.1に掲載するとおりであるが、これらの規定の趣旨及び内容はすべて法の条文から出発し、かつ、他の規則と密接な連繋を保持することによって体系化されている。したがって、逆説的には、通達や省令に規定されている意義又は趣旨の根拠を遡るとすべて法に立脚し、さらに法の目的とする船舶の堪航性と人命の安全の確保に収れんされることになる。
これら法規が目標とする安全確保のための過程を機関について具体的に示すと次の手順が得られる。
? 機関は法の目的とする船舶の堪航性と人命の安全を確保できる構造、強度及び施設を有していなければならない。
? 機関の構造等については「船舶機関規則」によって設計、製造及び試験されなければならない。
? 機関の構造等が「船舶機関規則」に適合していることを確認する検査を行う必要がある。
この検査は「船舶安全法施行規則」によらなければならない。
? 上記の検査は次の各項について実施される。

 

 

 

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