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2. 認定事業場と経営

 

2.1 認定事業場の社会的立場

企業は第一に、経営目的を達成するために多数の社員を結合し、協働の成果を挙げるための全体(経営)と個(従業員)の統合を図り、第二に、経営管理活動の循環を構成するマネージメント・サイクル(計画・組織・調整・動機づけ・統制)を形成させる職能を発揮し、第三に、経営方針、長期計画・組織計画・品質保証政策ならび人間関係という経営管理方式を体系化して経営の合理性、民主性、社会性を促進させるという経営管理の原則をつらぬいてきたのであるが、認定事業場は特に経営基礎が強固で健全かつ優秀企業であり、最新の設備力と最高の技術力をもって、認定事業場としての使命を果たしてきたと言っても過言ではない。
しかしながら、今後の社会情勢を考えると、第三に述べた社会性という問題は、企業として最も重要な研究課題ではないかと判断される。
社会的責任とは社会の目的や価値に照らして望ましい政策をたて、決定し、行動することであると定義されるが、どのような政策、決定、行動が社会的責任を果たすものであるかといえば、現在では一般的に利潤追求を超えて積極的に社会的目標との調和を実現する方向で意志決定をおこなうことが必要であるといえよう。
そのためには、企業行動のあり方を提示し、その実践を通じて民主主義体制を基盤とした創造性の豊かな福祉社会の実現に貢献することであり、個々の面では次のような政策が必要となる。
(1) 創造性を活用して、社会的要請にこたえる良質にして安全性の高い製品やサービスの効率的な提供。
(2) 社会的責任として消費者保護に関する品質保証と製造物責任を果たすほか、地球環境を保全する立場で、事業活動の各段階での公害防止、資源の節約とその有効利用、リサイクル、省エネルギー等は勿論のこと、環境負荷の少ない製品及びサービスを社会に提供。
(3) 長期的観点から地域社会への貢献。即ち良好な環境の創造、都市開発、地域人材育成など福祉社会実現に対する行動目標設定と積極的な実践。
(4) 貿易や資本の一層の自由化や新規企業の育成など、公正な企業間競争を促進させ、公正取引を前提とした市場条件の確保に努める。
以上の事柄については社会的立場の一面であるが、企業は常に社会を構成する一員であるとの自覚にたって、社会との対応を積極的に展開し、相互の信頼関係の強化を図ることが望まれる。

 

 

 

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