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40ノットの高速船を大西洋航路に投入しようとする計画が英国にあるが、船社からは「極めて現実性を欠く」との評価である。その理由は、?.現在の大型コンテナ船舶は平均速力20ノットの能力を有しており、仮にこの倍の速度で航行したとしても航海日数は大西洋間で2日短縮できるに過ぎない。従って、航空機と在来コンテナ船の間の「非常に中途半端な輸送手段」である。?.燃料消費が8倍必要で、TEU当たり100ドル以上のコスト負担となり、コスト負担に耐え切れる貨物が存在するか疑問。(日本郵船「調査月報」96/11・12)
TSLはこれよりも短い区間を航行することになるが、さらに厳しい条件となる。
通関システムも含めたスピードアップ、相手港での荷役システムの整備など、多くの課題を含んでいる。
(3)実用化に当たっての問題点
TSLを輸送機関としてみた時、第一の問題点は採算性である。最終船価は、未発表であるが、100〜150億円ともいわれる(同型の在来型コンテナ船は8〜10億円程度)。船価については、将来量産効果により大幅に低減することも期待できようが、燃費の高さも指摘される。TSL運賃はトラックとほぼ同等とされてはいるものの、採算性は不明である。
第2に、松山を発着地とした貨物量を安定的に確保することが最も重要な問題となる。
第3に、内航船社が在来船の代替船として運航するには、港湾運送における労務も含めたオペレート、航路調整など、解決すべき問題がある。
第4の問題は荷役システムである。高速性を活かすためには、スピーディーな荷役システムとセットでインフラが整う必要がある。在来コンテナ船荷役システムが適用できれば、重複投資も避けられ、一番望ましい。

 

 

 

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