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5大港湾以外の港湾で遠洋航路が寄港しているのは、清水、北九州、博多、苫小牧、那覇の5港である。このうちでは、北九州港は北米・欧州航路が少なく、アジアに特化している一方、博多港は北米航路や地中海航路など世界各地への航路が寄港しており、特徴がはっきりとしている。両港とも意識して役割分担したわけではなく、荷主の動向等を踏まえた航路開設の結果、現在の航路網が出来上がったものである。
イ.わが国のアジア域内航路の寄港パターン
アジア域内航路は経済力の向上と国際化の進展を背景としてアジア域内の貨物流動が急増しているため、多様な航路展開が行なわれている。
さらに、円高の進展などによって外貿コンテナ航路の海上運賃と比較した国内輸送コストの割高感が募ったこと、コンテナに対応した地方港湾の港湾整備が進展していることなどから、地方港湾へのアジア域内航路開設が進んでいる。34の地方港湾に寄港している。これらの多くは韓国・中国・台湾・香港方面への航路であり、運航頻度は週数便から月2便程度までさまざまである。
ウ.阪神・淡路大震災後の状況
平成7年1月の阪神・淡路大震災による神戸港のマヒは物流において神戸港に大いに依存していた西日本地域の企業にとって、物流ルートを見直す一つのきっかけとなった。
日本コンテナ協会では、神戸港が失った分のうち8割以上は5大港(横浜・東京・大阪・名古屋)に振り替えられ、8大港(前港プラス北九州・清水・四日市)も含めると9割を取り扱っだとしている。具体的に神戸から多数シフトしたのは、大阪港、北九州港、博多港等で地方港への流出分は1割弱に限られ、日本の荷主筋が選択したのはコンテナの取り扱いで信頼と実績のある神戸港以外の5大港だったと同協会では結論づけている。
神戸港の港湾設備は着々と復旧が進み、平成9年3月には全バースとも工事が完了する予定で、外国定期航路は平成8年11月末で174航路と、回復率は97%に達した。
日本コンテナ協会の調査によれば、コンテナの復帰率は80.3%に達している。リリーフポートとして位置づけられた大阪港では震災前(6年)と比べると、むしろシェアを上げており、利用が定着している。

 

 

 

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