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8. 京浜港を魅力ある港湾とするための諸方策、京浜港を中心とした内航フィーダー輸送帰の整備及び港湾荷役システムの検討

 

8−1 京浜港の実状と我が国港湾を取り巻く環境の変化京浜港の魅力向上策、及び内航海上フィーダー網の整備を検討するにあたり、次の点に留意し進めた。

8−1−1 コンテナターミナルの立地
前記5−1−3でも述べたように、立地面でみると、香港・シンガポールが連続バースとなっているのに対し、京浜港は青海、大井、品川、川崎、本牧、大黒の各埠頭に分散して立地している。
京浜港の場合、後背地の高い人口集積状況を考えると、シンガポールや香港のような一極集中型では、港へのアクセス面で問題があり、現在のような分散型のターミナル立地が実現したと思われる。しかしながら、物流のネットワーク化(拠点間輸送のべースポートとしてのメインポートとフィーダー港との有機的な結合)時代に入り、メインポートでは、積み替えのためのコンテナシフトが効率良く行えることが重要となってきている。京浜港においてはこの積み替えが多くの場合、自社ターミナル内で行われているが、空コンテナや内航フィーダーについては、ターミナル間のシフトも行われており、これらのコンテナシフトがスムーズに行えるようなインフラの整備が求められている。
8−1−2 ターミナルの運営形態
東アジア主要港について、コンテナターミナルの運営形態をみると、シンガポール・香港・釜山は専門のオペレータ会社又は公的機関により運営されているのに対し、高雄及び我が国のターミナルは、船会社による専用借り受け又は公共バース方式により運営されている。船会社による専用借り受けの場合には、オペレータ会社による運営の場合に比べ、港全体としての効率利用の点では劣る点があるものの、フィーダーサービスの積み替えを自社ターミナルで行うなど、ターミナルの利用率向上に対するインセンティブが強く働く(利用率向上がコスト低下に直結している)メリットがある。
京浜港では専用借り受けの規模に達しない船会社は、公共バースを利用しているが、最近、これら中小の船会社の寄港が増えてきており、このような船会社の寄港をさらに促進するには、専用借り受けバース方式のメリットを享受できるような利用形態(共同利用型等)を検討することも意味があろう。

 

 

 

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