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あいさつ

 

本報告書は、モーターボート競走公益資金による日本財団の平成8年度補助事業として実施した「OECD等国際会議への対応に関する調査」事業の結果を取りまとめたものである。
我が国造船業は、二度にわたる石油危機に端を発する未曾有の海運・造船不況対策の一つとして、新造船需要見通しに対応し、過剰設備の処理、集約化等を行い、需要安定化に官民挙げて努力してきたところである。
しかしながら、冷戦の終結、旧ソ連の崩壊に伴い、米国・ロシア・東欧諸国の造船業の市場参入、韓国等の大規模な施設拡張や生産性の向上、中国造船業の設備近代化等により世界の供給能力は増加の一途を辿っている。このような状況から、造船市場において供給過剰となることが懸念されており、再び造船市場が混乱に陥る可能性が高まってきた。
このため、当財団では我が国が世界最大の造船王国として、供給能力等に関わる国際的な調整について議論がなされる、OECDや4極首脳会議での議論を適切にリードしていくために、従来行っていた需要サイドの検討だけでなく、各国造船事業者の正確な供給能力について推定を行い、我が国における供給能力を規制している造船設備に関する政策や規制緩和、国際的な対応等を検討し、提言していくことにより、我が国造船業の経営の安定化や造船市場の安定に寄与することを目的とし、取りまとめを行った。本報告書が、長期的な造船対策の立案及び企業活動を推進していく上での指針として活用されれば幸いである。
なお、本調査研究は、東京大学工学部船舶海洋工学科小山健夫教授を委員長とする「OECD等国際会議への対応に関する調査委員会」の各委員のご熱心なご検討・ご審議によるほか、運輸省のご指導及び?三菱総合研究所のご協力により完遂したものであり、これらの方々に対し心から感謝の意を表する次第である。

 

平成9年3月

 

財団法人 シップ・アンド・オーシャン財団
会長 今市憲作

 

 

 

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