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2.4.4 ハウスラスタ、CPP、特殊舵の組み合わせによるアクチュエータシステム
この方式について、次の指摘が可能である。?CPPと特殊舵を組み合わせた場合、CPPの推力の内で舵抵抗でキャンセルできない成分が残り、通常のジョイスティック制御では真横、あるいは斜め後方への移動は困難になる。しかし、平均推力の考えを採用し、間欠的に後進力を発生させ、前後方向の力を平均的にキャンセルさせる方法を取り入れると、任意の方向への移動も可能になる。
?CPPの場合、荒天時もピッチの制御で機関トルクを過大にすること無しに航行ができ、就航率を向上させることができる。
2.4.5 両方式の比較
両方式は互いに特徴を有しており、船の運航目的に応じて選択すべきものと考えられる。
航行距離が短く、出入港の回数が多い船の場合には港内操船性を重視すると、任意の方向への推力がえられると言うポンプジェットの優れた特性は評価できる。
海象の厳しい航行区域を持つような船の場合、荒天時における航行性能の向上を図る上ではCPPプロペラは極めて有用で、この場合にはCPP、特殊舵、ハウスラスタの組み合わせで実現できるジョイスティックシステムの有効性の評価が重要になる。
2.4.6 特殊舵港湾内の操船を考えると、プロペラを作動させて舵に横方向の力を得るが、過大な前進推力が残ると減速停止とか、横移動者桟のような操船時には不都合であるから、高揚力型の特殊舵の採用が妥当となる。
この典型的なものとしては次の2タイプが広く用いられている。
(1)フラップ舵
(2)シリング舵
両者の特徴は以下のとおりである。
共通する特徴
?舵角による直圧力が大変に大きい。
?大舵角にすると、舵の抵抗も大きくなり、プロペラ推力をキャンセルするに役立つ。
フラップ舵
?斜航や旋回による舵直圧力は、舵角による直圧力と較べて大きくないから、肥大船型で舵によって針路安定性を改良する場合には不利になる。
?舵角ゼロ付近では舵抵抗は少ないから、推進性能上は有利である。
?フラップ角を与える機構が複雑なところから、故障等の心配がされているが、実績では故障の頻度が高いというわけではない。
シリング舵
?斜航や旋回による舵直圧力は、舵角による直圧力と同じ揚力特性となるから、肥大船型で舵に

 

 

 

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