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2.4 アクチュエータシステム

2.4.1 操船性能の近代化の考え方
内航近代化船の総合性能としては、効率の良い推進性能を持つとともに、多少の荒天であっても就航、出入港が可能であり、定時運航可能という現代物流の要請に対するサービスの質の向上が目指されるべきであり、また、港内、輻輳海域等でもブリッジ内はワンマンで安全に操船できるという条件の確保が必要になる。このような観点から、次の性能が重視される。
(1)推進性能
(2)荒天中の耐航性能
(3)ジョイスティック等による港内における操船性能
なお、港内操船を容易にするジョイスティックシステムは今日までの国内外の近代化仕様で共通に採用されていることを考慮して、近代化の必要項目として採用することにする。また、輻輳海域における安全性の確保については、統合操船システムの部分の機能の問題として別に検討する。 2.4.2 アクチュエータの基本的な組み合わせ
限られたコストの中で、これらの性能を改善するには適切なアクチュエータの組み合わせと効果的な制御の導入が必要になる。このような観点から、簡易的なアクチュエータの構成として以下の案が考えられる。
(1)FPP、高揚力特殊舵、ポンプジェット推進器
(2)CPP、高揚力特殊舵、バウスラスタ
ここで、(1)案のポンプジェット推進器は、任意の方向に推力を発揮できるもであり、(2)案は
今日の内航船に幅広く採用されつつあるものである。
2.4.3 ポンプジェット推進装置を使用したアクチュエータシステム
この方式について、次の指摘が可能である。
?ポンプジェット推進装置は船首部船底に取付けられ、ウォータジェットを任意の方向に、任意の強さで吐出することができる。船尾部の舵抵抗でキャンセルできない、残った推力成分をポンプジェットの推力と方向の調整でキャンセルさせることができるから、前後方向の力を任意の大きさに調整でき、所定の方位を保ちつつ、任意の方向に自由に横移動させる操船が可能になる。つまり、ポンプジェット方式ではある程度理想的なジョイスティックシステムが実現できる。 
?主機関あるいは主推進システムが故障等の場合の補佐として利用する可能性はあるが、対策としては主推進システムの信頼度を向上させる方向が先決であろう。
?ポンプジェットの場合、軽荷状態での荒天時、船首船底が露出した場合の信頼性については確認を要する。
?ポンプジェットの場合、ある程度の広さのフラットな船底を必要とするところから、配置位置に制約があり、重心からの距離(性能的にはモーメントレバー長となる)がスラスターと較べて小さくなり、同じ回頭モーメントを得る場合、余分な馬力が必要になる。

 

 

 

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