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5.まとめ

 

今後、船舶、鉄道、バスなどの公共交通機関においては、人や環境に配慮することが重要であると共に、各々を有機的に連携させた総合交通体系を構築することが重要と考えられる。これらについては、各交通機関においてそれぞれの対応が進められ、成果も挙げられている。総合交通体系としての考え方に基づくと、バス車両のみならず、船舶・ターミナルや鉄道等においてもいくつかの課題があるが、バス車両の改善によるバリアフリー化は、かなりの効果が期待できる要素と考えられる。
つまり、高齢者や障害者にとっての交通機関の利用性向上等のために、バスの果たす役割は大きいことから、本調査では、特に低床バスに焦点を絞って検討した。その結果、以下のような知見を得た。
(1)欧米においては、低床・低公害バスの大量投入及び技術開発や、バス・交通システムの高齢者・障害者等への配慮などの点で、わが国よりも先行している。低床・低公害化技術というようなハード面に加え、運転手教育・トレーニング、乗客への情報提供、ドア・ツー・ドアサービスの仕組みなどのソフト面での対応についても、参考にできる点があると思われる。
(2)国内の主要なバス事業者のニーズを調査し、低床バスの標準仕様に対する要求事項等を把握した。第一次アンケートにおいては、当初想定した仕様に対して走破性や降雪への対応等に問題があることが指摘された。このため標準仕様について、車高調整機構への上昇機能追加や、アプローチアングル・デパーチャアングル等の明確化等を行って第二次アンケートを実施したところ、問題を指摘する事業者割合を減少させることができた。このほか、扉の位置・形状、乗車定員、シートレイアウト、燃料タンク容量等に対するニーズ、仕様標準化を望む項目(タイヤサイズ、変速機等)、及び価格への要望等に関する貴重な意見を収集できた。
なお、今後1〜3年先までにノンステップバスを導入したいという意向を持つ事業者は、試験導入も含めてアンケート回答者の約44%(47事業者)にも達しており、ノンステップバスヘの関心の高さがうかがえた。ただし、導入に際しては補助金等の公的支援があることが要望されている。
(3)実物大のモデルバスを用いて、路線バスの乗降性。車内レイアウトデザインについ

 

 

 

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