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2.2開発方針

前述のように、GPME研究開発の目的は造船業を含む組立産業におけるプロダクト情報及びプロセス情報のモデル化とシステム統合化の基盤を提供し、業務全体のCIM化を支援することである。この目的を実現するために、GPMEの開発は最新情報技術を駆使することによって、既存のシステム資産を活用しながら、次世代の組み立て産業の業務支援情報環境を構築していくこととする。
2.2.1組立産業システム支援の要件とGPMEのアプローチ
前述のように、GPME開発の目的は造船業を含む組立産業におけるプロダクト情報及びプロセス情報のモデル化とシステム統合化の基盤を提供し、業務全体のCIM化を支援することである。この目的を実現するために、GPMEの開発研究においては、「製造業務のライフサイクルに渡る各業務システム間の情報と知識の共有」、「ネットワークによるシステム統合」、及び「システム統合化の基盤としての高度なユーザ支援」の3つの基本機能の実現を目標としている。この基本機能の内容については2.3節で詳しく述べるが、本節ではその前提としての要件とそれに対するGPMEのアプローチについて述べる。
(1)知識共有問題と知識表現としてのオントロジ概念
組立産業におけるシステム化の現状の問題点として、「各業務ごとに孤立したシステム化」の問題が挙げられる。つまり、これまでは個々の設計あるいは生産の過程ごとのシステム導入によって、効率向上を図ってきた。例えば、CADや構造解析などのシステムは製品設計のある特定の部分を支援している。各業務の必要に応じて、システムを構築し、導入することは、局所的にそして速効的にその効率向上を実現できるが、業務全体(例えば造船業務全体)から見ると、二つの問題点がある。その第一は「孤立したシステム化」の効果には自ずと限度があることである。つまり、業務全体の効率を向上させるためには、ある特定の業務の効率化だけでなく、設計から、製品納入まで、各業務間の情報及び資源の有機的な「流れ」の効率化が極めて重要となる。
例えば、ある造船所の業務全体は一つの「ネットワーク」によって行われていると概念的には考えられる。各業務部門(基本設計、詳細設計、生産設計、生産管理、調達、工作など)はこの「ネットワーク」の「ノード」であり、業務部門間の情報及び資源(資材)の流れはこの「ネットワーク」の「リンク」となっている。もし、効率的な「リンク」が実現できなければ(つまり、情報・資源・資材などが速く流れないならば)、いくら「ノード」の効率がよくても(つまり、各業務部門において、情報・資源・資材などが速く生成できても)、全体的な効率を高めることはできない。ところが現状では多くの場合、この「流れ」の方は

 

 

 

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