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3.4海中排出技術

3.4.1海中排出システムの計画
1)海中への排出方法
深海での排ガスの処理は液化排出が最も効率の良い方法である。これを前提に排出を検討する。しかし、この動力源システムは系としても圧力5〜7MPaを保持している。このため、500m程度の深さならば排気ガスを液化しなくても自身の圧力によりガスを排出可能であり、これは積極的に利用することが必要である。
500mを越える深海では液化排出が前提となるので排出ポンプの条件について検討する。前述のとおり、燃焼により生成されるガスは炭酸ガスと水蒸気でその比は、燃料1kgに対し炭酸ガス3.2kg、水蒸気1.3kgである。また、この生成した液化炭酸ガスと水が混じると温度12℃以下でハイドレートを生成し排出管を閉塞状態にすると言われている。そのようなトラブルを防止する観点から炭酸ガスと水を分離排出する事を前提条件とする。
生成される液化炭酸ガスと水の量は、エンジンの効率にも影響されるが、出力
20kwでは、液化炭酸ガス正味流量:25〜32kg/h
凝縮水正味流量:10〜13kg/hである。
このためポンプとしては、流量:40〜50kg/h
吐出圧力:70MPaを選定する。
2)海中排出系統の計画
排出系統としては、凝縮炭酸ガスと凝縮水それぞれに単体の排出ポンプを設置することが前提である。しかし、場合によっては故障も考えられることからバックアップできるラインが望ましい。そこで試験用の海中排出系統の計画図を図3.4-1に示す。
海中排出ポンプの重要なポイントは、凝縮水分離器と凝縮炭酸ガス分離器の液面レベルを出来るだけ一定に保持する液面制御を問題なく行うことである。凝縮系に流入するガスの量は変動するため流量にあわせてポンプの吐出量も一定でなく可変でないと液面制御が出来ない恐れがある。図3.4-2に示すようにポンプとしては、発停をLIC701,LIC702で制御させると同時に液面レベルに応じてポンプの回転数も変化させる方式の制御を行うようにする。
更に排出系で重要なポイントは、凝縮器で液化したものを排出ポンプまで輸送してくる問にガス化させないことである。このため凝縮水分離器と凝縮炭酸ガス分離器と排出ポンプとの間のサクションラインを二重管にし内側に凝縮液、外側に冷水を流し必要な温度を保持するように計画した。
また、排出ポンプにより加圧された凝縮液は温度により炭酸ガスと水とに分離させる。特に炭酸ガスの放出時は断熱膨張による冷却のため、多段減圧と加熱を組合せながら大気に放出できる配慮が必要である。実際の海中排出の場合は多段減圧は考えなくてよいが、それに変わってハイドレートを生成するという課題があるため、システムの一次冷却水と混合して温度が下がらないように海中に排出させる方法等についても検討が必要である。

 

 

 

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