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3.2.2高圧燃焼器設計・製作
1)高圧燃焼器の設計
(1)前提条件
本研究にて試作する高圧仕様外燃機関では、ヒータ及びエンジン取付部フランジを除いてスターリングエンジン本体の改造は行わない事を条件としている。すなわち20kw級常圧燃焼仕様スターリングエンジンが確立した弦術として存在する以上、本燃焼器に於いても内部のヒータに与える熱量を常圧仕様並に確保する事が必要である。そのためには燃焼器は、常圧燃焼仕様と同一である事が最良であるが、使用する環境が海中を推進する潜水船の中のため以下の様な制限を受ける。
・後流機器にて燃焼ガスの主成分であるC02・H20を凝縮液化して排出できるように燃焼室内圧力は最大7MPa程度にする必要がある。
・酸化剤として通常空気の代わりに搭載容積の小さな液化酸素(LOx)を使用しなければならない。
・燃焼器内の材料保護と拡散速度向上のため燃焼用酸素はLOxからの純O2でなく燃焼ガスの一部を再循環させたガス(CGR)を加える。
従ってこれらの制限から本研究にて試作する高圧燃焼器はおのずと常圧仕様とは異なったものとなる。ただ単に圧力が高くなった事だけを考えると密度が大きく体積が小さくなっただけ燃焼室はコンパクトにできる。しかしその反面、ガスの連動量が減るため燃料とO2の拡散混合の悪化は避けられず、更に常圧燃焼仕様機関に比べて燃焼室内のガス量の減少によるヒータでの燃焼ガスとの対流熱伝達の悪化も考えられ、ヒータを装着する燃焼室は大きくしなければならない。これらは互いに相反する事柄である。従って高圧燃焼器及びそれに付随する燃焼試験装置の計画に際しては、本要素技術とスターリングエンジンを組合せて最適な海中動力源とする事を念頭に於いて取り組む必要がある。
(2)高圧燃焼器の基本構造
図3.2-1に示すように高圧燃焼器は燃焼室、ヒータ、O2・CGR予熱器を内蔵した高圧容器構造で横置き型とする。
a.燃焼室
燃焼室の頭部はバーナ及び前壁、側面部はヒータ、底部はエンジン本体のシリンダヘッド及びその連結部を覆う耐火材から構成される。
バーナは燃料油を噴霧させるアトマイザとO2・CGRに旋回を持たせて噴出させるスワラーより成り立っている。
b.ヒータ
ヒータは常圧燃焼仕様と同様、円形ブィン付き構造とし、フィンの高さ、厚さ、ピッチ等も同一諸元とする。但し、チューブ長さについては常圧燃焼仕様に比して低下する対流熱伝達量を補う事が出来るよう長くする。
c.O2・CGR予熱器
燃焼器の耐熱性より、耐圧部と燃焼室内壁との間にO2・CGR予熱器を挿入した構造とする。

 

 

 

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