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はじめに

本報告書は、競艇公益資金による日本財団の平成6年度〜平成8年度補助事業として実施した「大深度長期高効率海中動力源システムの開発」事業の成果をとりまとめたものである。
近年、地殻構造の解明や海底鉱物資源の探査、深海微生物の収集等、深海における調査研究の必要性が高まる中で、長時間にわたり使用できる海中動力源の開発要求が高まっている。現在、深海調査船や深海作業船の動力源としては鉛蓄電池やニッケル・カドミウム電池等の二次電池が考えられているが、この場合1日1回数時間程度の作業時間に限られている。そこで、当財団では、平成6年度から長時間違続稼働できる自力航行型海中動力源システムの開発を進めてきた。
本事業では、週単位の連続稼働を可能とし、小型・軽量・高効率な動力源システムとして、高圧燃焼・排ガス液化排出型外燃式システムを採用した。
本システムの特徴は、排気ガスの主成分であるCO2ガスの常温凝縮圧力が5〜7MPaであることを利用し、気体を非圧縮性の液体にして排出ポンプで海中に液体排出させることである。また、そのCO2ガスを常温凝縮圧力まで昇圧するための手段として、圧縮機などの補機類は一切使用せず、外燃式機関の利点を生かして機関本体の燃焼器内の燃焼圧力自体を高圧化していることである。その結果、深度にかかわらず少ない動力で排気ガス処理が行えるため、システム全体の高効率化が達成される。
本報告書は、それらの開発研究成果をとりまとめたものである。この報告書が大深度用調査船等の設計資料として有効に活用されれば幸いである。
本事業は、塚原茂司 舶用機関学会事務局長(前船舶技術研究所 機関動力部長)を委員長とする「大深度長期高効率海中動力源システムの開発委員会」の各委員の熱心なご審議による他、運輸省のご指導をはじめ、多くの方々のご協力により完遂したものであり、これらの方々に対して心から感謝の意を表する次第である。
平成10年3月
財団法人 シップ・アンド・オーシャン財団
会長今市憲作

 

 

 

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