日本財団 図書館


 

2. 乗り物酔いの生理的限界の解明

本研究における2本の柱は、乗り物酔いのメカニズムの解明と低動揺型船体形状の設計手法の開発である。これらの2つの主題の関係および3年間の研究実施フローを図2−1に示す。図に示される研究フローは、研究開始当時のものであるが、研究の実施にともなって、以下のように研究内容の追加を行った。
乗り物酔いのメカニズム解明に関する基礎研究においては、
?被験者の身体的、精神的、遺伝的健康度に関する事前調査
この調査は、全ての被験者が等しく健康であるとの解釈は必ずしも正しくないとの判断による。内容は、アンケート調査、血液・尿検査、心電図検査、平衡機能検査である。
?動物実験による生理的・心理的反応の計測
この実験は、本研究が医学分野との学際領域で行われるため、医学分野で通常必要とされる人間を被験者とする実験の前段階で必要な実験であること、および、動物における酔いの過程を調べておくことも重要な意味を持つと考えられることによる。
?実機を用いた実験においては、被験者の生理的、心理的反応を計測するだけではなく、一般乗客に対しての乗り物酔いに関するアンケート調査を行った。
?動揺暴露前後の血液検査に関しては、人体の持つ自然の免疫機能に関する分析を行った。
?本研究が人を被験者として用いることから、被験者に対する配慮を十分に行う必要がある。このために、研究倫理委員会の設置が認められ、この委員会において研究の実施が承認された。

 

008-1.gif

図2−1 研究実施のフローと研究内容

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION