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「安全な飲料水−保健医療との関連−」

東京慈恵会医科大学助教授
小川康恭

 

議長:アペニサ・クリサキラ議員(フィジー国)

 

クリサキラ議長:
皆様、これまで人間の生活にとって量も基本的な要素、すなわち食料や住居について話をしてまいりましたが、今朝は、基本に戻り「水」についてお話をいただきます。本会議の中心テーマであるこの「水」の問題を、「安全な飲料水」、そして「公衆衛生」という視点から話していただきます。つまり、安全な水を家族のために確保するということです。家庭における水の利用について注目し、家族のために安全な水、そして清潔な水を確保するということです。
講演は東京慈恵会医科大学の環境保健医学の小川先生です。

 

小川:
アペニサ先生、ご紹介ありがとうごいました。ご参会の各国国会議員の皆様方およびご出席の皆様方、今回私の研究の一部を報告させていただけることを、非常に光栄に思っております。この機会をつくっていただきました財団法人アジア人口・開発協会の前田理事長はじめ、兵庫県、神戸市に御礼を申し上げます。
それでは、私の講演を始めさせていただきます。
私の話は大きく3つに分けてお話ししたいと思います。
最初に「水と健康」ということで、その概要をデータから眺めてみたいと思います。次にマクロで見た場合に、おおよそ3つのグループ分けができますが、代表的な国として3ヶ国を選び、その現状を説明します。最後に、産業化が水と健康に及ぼす問題についてお話しします。
それでは、まず初めに「水と健康」についてその概要をデータを使ってお話ししたいと思います。このスライド(図1)は1996年の世界人口白書の統計から、国別の統計をグラフで表したものです。グラフの横軸は安全な水の利用率(%)を示し、そして縦軸は乳児死亡率を示してあります。一般的に、安全な水の利用率と乳児死亡率の間には、きれいな負の相関関係があるといわれています。つまり安全な水の利用率が上がると乳児死亡率が下がるわけです。このグラフでもラオス、ミャンマーから、日本、シンガポールヘと直線南係が表われています。

 

 

 

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