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平成5年12月に開催された運輸技術審議会の答申を受けて、(社)日本造船研究協会では平成6年度から3ヵ月の予定で、新形式舶用電気推進システム(燃料電池推進システム)の研究開発を進めております。

 

研究開発の目的
燃料電池を船舶の推進機関として利用するために必要な事項を明らかにすること。

 

船舶化へ主要な技術課題
●船舶の運航状態で生ずる負荷変動の対策
●システム全体を小型・軽量化するための対策
●安全性の確保
●船舶の動揺・加速度・振動への対策

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全体システム
システム全体の研究
(研究内容)シュミレーション解析、及びメタノール改質系の総合実験を行っています。

 

燃料
貯蔵が比較的容易で、改質温度が低いためにシステムの小型化を可能にするメタノールを選定しました。

 

蒸発器
貯蔵タンクからポンプにより圧送されたメタノール(燃料)をガス状にします。

 

改質器
ガス状のメタノールと水蒸気の混合ガスが、触媒の助けにより、水素と二酸化炭素の混合ガスに改質されます。
(研究内容)熱媒循環式チューブラ型とプレート型の2種類について比較検討しています。

 

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CO除去器
生成された改質ガスの中には、一酸化炭素が残存します。一酸化炭素がそのまま燃料電池に流入すると電池内部の白金(触媒)が被毒し、電池の性能が低下します。このため、CO除去器を設置し、一酸化炭素を更に少なくします。
(研究内容)メタネーション法及びセレクトオキソ法についてそれぞれの性能実験を行っています。

 

加湿器
燃料電池(PEFC)の電解質は高分子のフィルム(膜)で、適度な湿気が必要です。そのために、電池に流入する改質ガス及び空気を加湿します。
(研究内容)膜式加湿器の特性を確認する実験を行っています。

 

空気圧縮機
酸化剤として空気を圧送します。
(研究内容)排ガスタービン圧縮機の特性を明らかにするための実験を行っています。

 

燃料電池
船舶推進用としては、?作動温度が低く、?負荷変動特性に優れ、?出力密度が大きく、?振動・動揺にも問題の少ないことが必要です。固体高分子型燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell)を選定して実験を行っています。
(研究内容)1kwの燃料電池を用いて、静特性試験、起動停止試験、負荷変動試験、傾斜試験、塩分影響試験など燃料電池本体の特性を明らかにするための実験を行っています。

 

直交変換器
直流電気に変換し、モータに伝達します。

 

 

 

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