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3.5.2 NICEコードを用いた斜航流計算
(a)NICEコードの概要
NICEコード(Navier-Stokes Solver Using Implicit Cell-Centered Formulation)は、船研において開発された、船体まわり流れに関するCFDコードである。連続の式に圧力の時間微分項を人工的に付加した擬似圧縮法を用いており、時間積分に陰解法、空間差分に前処理(MUSCし)型3次風上差分を用いている。乱流モデルはBaldwin-Lomaxモデル(以下、1日肌モデル)を用いている。肌モデルは薄い境界層の実験データを基にチューニングされているため、肥大船の船尾縦渇のような強い3次元性を十分に表現できないという問題点があり、SR222委員会で改良が行われ、SR222修正BLモデル(以下新BLモデル)としてNICEコードに組み込まれた。
(b)斜航流計算
自由表面は上下対象面として近似し(double modelの仮定)、模型実験と同一のレイノルズ数(Re=2.835×10 6)で、斜航状態のSR221A,B船型まわりの流れを計算した。図3.5.2.1に、斜航角β=9°におけるSR221A船型のAP断面の伴流分布を示す。新肌モデルの利用により、実験との一致度が向上している。図3.5.2.2に、斜航角β=9°における2船型の横力分布を示す。座標xは、FPで−0.5、APで0.5である。A船型では旧BLモデルの方が一致度が高く、B船型では、その逆である。B船型がU型断面をもち、強い船尾縦渦を発生することを考えると、新肌モデルは船尾縦渦を過大評価していると思われる。

図3.5.2.1 SR221A船型の伴流分布(斜航角β=9°)

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図3.5.2.2 横力の分布(斜航角β=9°)

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