日本財団 図書館


 

3.5 燥縦流体力に対するCFD利用の試み

3.5.1 W1SDAM−V法による操縦流体力の推定
操縦流体力に対するCFD利用の試みとして、WISDAM−V法による、斜航時および旋回時の流場計算をSR221A、B、およびC船型に対して行った。WISDAM−V法は圧力および流速の基礎変数を用い、有限体積法に基づいたナビエ・ストークス方式(NS方式)のソルバーである。特徴として時間陽解法を用いている点が挙げられ、時間的に非定常な問題にも適用できるという長所を持つが、陰解法に比べると安定性が低く時間刻みを小さくとらなければならないという短所がある。また、各計算セルの面上にそれぞれの方向の流速成分を定義し、圧力はセル中心に定義するスタガード変数配置を採用している。なお、流速にはデカルト成分を使用している。
支配方式は以下の非圧縮性流体のNS方式および連続式である。

041-1.gif

ここで、fは外力項であり、Tは以下に定義される応力テンソルである。WISDAM−V法においてはMAC法のアルゴリズムを採用しているためあらかじめ圧力項を分離して表記してある。

041-2.gif

式(3.5.1)と式(3.5.2)の各項の有限体積近似において、対流項には3次上流差分法、その他の項には2次中心差分法に相当する流束の内挿法を用いている。
式(3.5.1)の左辺を1次前進差分により差分近似することにより、以下の速度場の更新の式が得られる。

041-3.gif

ただし、上付きの添え字nは時間ステップのレベルを指す。式(3.5.4)の発散をとることにより、以下のような圧力P n+1についてのポアソン方程式が得られる。

041-4.gif

連立1次方程式の反復解法の一つであるSOR法を用いて、式(3.5.5)をとき、(n+1)番目の時間ステップの圧力場P n+1が求められ、ついで、式(3.5.4)により(n+1)番目の時間ステップの速度場U n+1が求められる。さらに旋回のシミュレーション時には船体固定の座標系で旋回流を表現するために、遠心力とコリオリカをN−S式の外力項として加える。旋回半径ro、旋回角速度ω、斜航角βで働く船体固定座標系o−x 1x 2x 3が上の点(x 1、x 2)の単位体積の流体に作用する遠心力およびコリオリカは以下のように与えられる。

041-5.gif

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION