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3. 構造モデルを用いた腐食疲労試験

 

3.1 中型試験片による試験の目的
応力集中、溶接形状および防食劣化状態に関し実構造の要素を模擬した中型の試験片を用いて、海水環境下で疲労試験を行い、実構造により近い条件下での腐食疲労挙動を調査するとともに、腐食疲労寿命推定法の構築・検証のためのデータを取得する。

 

3.2 試験片および試験内容
船体構造のスチフナやブラケット基部およびスカラップ周辺部は、応力が集中するとともに規定の塗装条件の確保が困難な部位であり、腐食疲労き裂の発生が最も懸念される。そこで、本試験では、トランスとロンジとの交差部をモデル化対象部位として選定し、ウェブスチフナとロンジフェースの角回し溶接部からの腐食疲労き裂を対象とした。
図3−1に中型試験片の形状および寸法を示す。試験片は、実船を想定して、TMCP型KA32鋼板と炭酸ガス半自動溶接の組合せで製作した。供試材は、各年度の共通供試材(2.1.2項参照)である。また、角回し溶接部の溶接条件は、小型試験片および中間型試験片とほぼ同等(2.1.3,2.1.5項参照)である。
中型試験には、海水腐食環境中における塗装の影響を確認するため、無塗装と塗装した試験片を供試した。無塗装の試験片は、溶接ままで供試した。塗装で供試する試験片は、造船所での建造工程を考慮し、溶接組立て後大気暴露(10日間屋外に放置し、毎朝夕に散水)した。所定の大気暴露終了後に下地処理を行い塗装(タールエポキシ)した。下地処理および塗装仕様は、小型試験片とほぼ同等(2.1.4項参照)である。

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図3−1 中型試験片形状・寸法

 

 

 

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