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SR227「自動運航システムの評価」

要約
平成6年度の研究の概要
1)海難事故防止対策に関する現状調査
a)海難事故発生状況及び原因の調査−−−日本の年間の全海難の数は多少漸減しているとはいうものの、毎年約10,000件で、その中で衝突、乗り揚げが約50%に及んでいる。
b)各船舶会社の航海事故防止対策の現状調査−−−レーダ、ARPA等は性能的に満足していない。従って見張り視認などで衝突防止を行っているが、航海士の教育については0JTで行っているところが多い。
c)ユーザ側から見た航海事故防止システムのあり方−−−
・機器は多機能を望まず、簡素化し、操作が簡単であり、マン・マシン対話形式のようなヒューマンフレンドリーなものを望む。
・メインテナンスフリーのような信頼性に富むものが必要。
・レーダによる他船識別、相互通信システムのような相手船の将来動向を知ることのできる装置が必須。
・音声による操船助言装置の開発。
・衛星による航行管制システム、通行路の標準化。
自動化機器に航海を任せられるかどうかかの質問には、
・大洋航海中の船位確認、保針、見張り
・沿岸航海中の船位確認、保針
・狭水道での船位確認
には過半数が自動化が可能と答えたが、
・沿岸航海中の避航
・狭水道での保針、避航
・港内航行中での船位確認、保針、避航
では自動化は無理で操船者の判断が必要であると答えている。
2)統合航海情報システムの概念設計と開発要素の抽出
a)文献、ユーザ等の使用実績等を対象とした現状調査−−−レーダ/ARPA、電子海図、トランスポンダ、測位システム等の航路監視システム、VHF無線電話、インマルサット等の通信システムを調査し、これらの機器の使用状況、問題点を調べ、開発要素の抽出を行った。
b)システムの概念設計−−−自動運航システムの設計に一番重要な事項は、使用者にとって使いやすく、有効かつ確実に連航業務を支援できる機能を有するシステムであり、そのあり方、概念の基礎を次のように定めた。
・各種航海情報の集中化、一元化
・衝突予防対策。避航操船の明確化
・確実な座礁予防対策
・シンプルかつ確実なヒューマンインターフェイス
・信頼性あるシステムの構築
3)自動運航システムを使用しての自動運航シミュレーション
a)自動運航システム及び操船シミュレーションに関する技術調査−−−自動運航システムとしていわゆる「知能化船」の研究があり、またIBS(Integrated Bridge System)やINS(Integrated Navigation System)の性能

 

 

 

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