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また、汎用プログラムNASTRANも同様に固有歪を異方性の熱歪として入力し、残留応力を計算出来るようになっている。
非弾性解析では大阪大学で開発されたJWRIANやMARC、ADIAN、ABAQUS、HEARTS等があり実船計測で解析に使用した。
(2)固有応力法による残留応力推定法の開発
溶接残留応力を固有応力と溶接変形による二次的な応力に分けて取り扱っている。固有応力は材料と溶接入熱量から求められ、直線ピード、突き合わせ、すみ肉および角回し溶接について計算方法が与えられている。また、溶接変形は仮想体積力と仮想外力から計算できる。この手法を応用して溶接残留応力に及ぼす寸法効果が計算できる。13Cr−4Ni鋼突き合わせ溶接継手の残留応力計算結果の例を図5に示す。

図5 13Cr−4Ni鋼突き合わせ溶接継手の残留応力

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(3)固有歪による残留応力推定法の開発
溶接変形と溶接残留応力を生じさせる原因として固有歪を考え、この大きさと分布が分かれば変形と残留応力が有限要素法等を用いて求まる。
固有歪は逆解析で求める方法、生成機構に基づく決定方法がある。
有限板に溶接ビードを付けた場合の計算結果を図6に示す。

図6 止端を起点とした溶接線上の残留応力分布

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4.4 模型実験による実船計測の補完
(1)実験の目的
「X線法と磁気歪法の併用」と計測治具の改良により、実船に対して広範囲な残留応力計測が可能となり、また、固有応力、固有歪を用いて小型試験体レベルでの残留応力を比較的良く計算できる事が判明した。本来ならここで直接実船を対象にこれらの検証を行うべきであるが、次の問題が残る。
・治具の改良を行っても、なお物理的に計測困難な箇所が存在し、特に疲労、座届などを検討する上で必要となる情報を全て実船計測から得ることは困難である。

 

 

 

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