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4. 得られた成果

本研究では残留応力の推定法と計測法の確立の為に、様々な角度とメッシュで徹底的に実験と解析を行った。その豊富なデータの検証により下記の成果が得られた。

4.1 残留応力推定の現状

(1)残留応力の実態
船体の建造に関して加工、組立や船台工程で残留応力が発生し、船体強度に何らかの影響を及ぼすことは溶接ブロック工法を始めて以来懸念されて来たことである。船体建造における残留応力の実状を、発生プロセス、素材、下地処理、切断、溶接、工作に分類整理して残留応力研究の現状と実態を明らかにした。
(2)計測法と解析法の現状
現状の計測法(X線法、磁気歪法、バルクハウゼンノイズ法、音弾性法、応力弛緩法等)と解析法(熱弾塑性FEM解析、固有応力/固有歪を用いた弾性解析等)および推定法(解析と計測を有機的に組み合わせた手法)について現状を紹介した。
(3)研究目的
この研究部会の目的は、実船での残留応力の実態把握に重点をおき、それを達成するための推定システム(従って計測法と解析法)を開発提案する事である。実船での残留応力推定システムのフローを図1に示す。

図1 実船の残留応力計測システム

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4.2 残留応力計測法の検討と改良

(1)各種計測法の評価
残留応力計測法のうち、実船で使用できる非破壊計測法の評価を行った。
各種の残留応力測定法の特徴の比較を表1に、小型模型を用いて各種測定法で残留応力の計測結果から得られた評価を表2に示す。また、計測法の比較に用いた小型試験片と計測結果の比較の一例を図2に示す。
この結果から実際の構造物において残留応力を計測する場合は、X線法と磁気歪法を組み合わせた方法が最も実用的であることを提案した。

 

 

 

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